京都御池メディカルクリニック[予防医療、検査、がん治療]

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病気から学ぶことは・・・

少しばかり2024.1.28のハーフマラソンに向けた個人的なコラムを続けておりましたので、今回は普段から患者様、周囲の人々、家族や自分を診るときに常に考えていることに触れてみます。以前、出演しておりましたKBS京都ラジオでも触れた内容と一部重複するかもしれませんがご了承ください。

現在クリニックではアンチエイジングというアプローチもしております。皆様それぞれにどうご提案するのがいいのかを常に考えておりますがなかなか難しいです。勤務医として総合病院で働いている時は、すでに存在している病気と戦うことを目的目標としていたため、ガイドラインを遵守し最新のデータに目を通して医薬品を用いてほぼ対応ができていたと思っていますが、目の前にいる方々が病気にならずに健康で幸せに周囲の人々と過ごすには何ができるのか??ということを真剣に考えると答えの出ない迷宮に入ってしまうのが正直な感情です。とはいえ、医師が分からないと言ってしまっては患者様を不安にさせますので、あらゆる側面からその方を見て自分の知識において何かアプローチできないかということを日々考えています。やはり細胞レベルで機能を発揮していくことが、ひいては組織や臓器の良好な状態へと繋がり健康的な生命体へ導くと考えます。例えば多くの方は普通に食べていれば栄養的な面は充足していると思いがちですが決してそうではありません。さらに自律神経の側面からアプローチを種々実施し状態改善を得られるようにしていくことが必要と考えます。そのため決まりきった治療介入や施術というのは存在せず「適切な」というのは各々の状態に依存します。ここでいう状態というのは採血などの客観的データだけでは無く、その方がどういった方なのか?ご家族や職場など、どういった環境でどんな生活を送っているのか?そういったことも含んでいます。

話は変わりますが我々のクリニックグループは、国の認可を受けて幹細胞を用いた再生医療も実施していますが、それもまた種々の疾患や病気のリスク因子である「老化」という現象にどれだけ介入できるのかチャレンジでもあります。「人は血管とともに老いる。 ならば、血管が若々しくあれば人は若々しく老後をすごせるだろう。」という言葉があります。まだまだ症例単位での経験でエビデンスとは全く言えませんが、血管内に発生している炎症を幹細胞培養上清で軽減しているデータを確認できており、症例の蓄積を進めています。なお幹細胞培養上清点滴については、アプローチを開始する前にカウンセリングを必ず実施し、説明を聞いて見合わせる方もいらっしゃいます。当院では十分なご理解とご納得のもとで実施しております。

ところで少し難しい話となるかもしれませんが、暦上の年齢上昇と生物学的な年齢上昇との相違、つまり簡単に言いますと実年齢相応の老化が進んでいるのか?あるいは老化の進行が緩やかになっているのか?はたまた老化の進行スピードが増しているのか?そういった現在の状態を精査できる検査を今後導入する予定です。これには様々な方法が存在し、日々行っているアンチエイジングアプローチの効果の有無を、数値化しフィードバックをかけていくことで、疾病や病気の最大のリスクである老化の進行抑制への道筋を立てることが可能になるのではと期待しています。

少し話がずれてしまいましたが、我々はいつしか病に倒れる日が来るかもしれません。病に倒れ自暴自棄になられる方もおられれば、ひたすら前向きに治療を続ける方もあり、自分の人生を人のせいにしたり、ひたすら後悔してみたり、また敢えて病と戦わず自分自身の生きたいように日々を過ごされる方もいらっしゃいます。もちろん医療としてはガイドラインを中心に治療の組み立てを行っていくわけですが、それが人生の答えとならない価値観をお持ちの方がいらっしゃるのも事実であります。ここで皆様に考えていただきたいのは、病となってから自分の人生について考えるのでは時間が無さ過ぎるということです。病気になるだけでも頭は真っ白になり、そんな中で医師からの難しい説明を診察時間の短い間でお聞きになっても十分な理解や納得ができないと思われます。自分の人生やあるいは自分と関わりのある方々との人生を、病と付き合いながらどのように過ごして行くのか、自己決定権は自らにありますが、ただそれを前提としても自分自身が自分の人生をどう考えているか、つまりそういった事に対する価値観というものが非常に重要になると思います。病気は決して悪いものでは無く、それが教えてくれることが多くあります。その時に初めて分かることや気づくこともあるかと思います。自分自身からは見えにくい、聞こえにくい身体や心の声に向き合いながら病に罹ろうとも、患者様が何かを学び理解し、そして納得した形でその方の人生を全うできるようにサポートしていくのが我々医療者の目指す方向性なのだと、保険診療自由診療に関わらず視野を広げ日々研鑽を進めたいと思います。

当院は自由診療クリニックで、患者様お一人お一人に対する最適解を一緒に導き出すことを最も大切にしています。ゆえ、保険診療においてできること・できないこと、自由診療でできること・できないこと、現代の医療において分かっていること・分かっていないこと、介入アプローチのメリット・デメリットを可能な限り時間をかけてお話し、方針を一緒に決定しています。何か健康上のご不安やご懸念などがございましたら、ぜひご相談いただければと思います。

追伸:ハーフマラソン初挑戦への準備は進んでいます。トレーニングを開始した直後と比較すると、カラダも動くようになり10km走ったあとの疲労感が少なくなっている印象です。恒例だった晩酌も完全に控えており(自然と控えられるようになりました)、酸化ストレスも低下している感覚ですので、またどこかの段階で調べて報告します。今回感じたことは、行動を継続していく内的なモチベーションを高めるために、何かハードルを設定することが重要という当たり前のことでした。小さなことで構いませんのでハードルを設定してみると行動が変容していくかもしれませんので皆様も一度お試しいただければと思います。

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