京都御池メディカルクリニック[予防医療、検査、がん治療]

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水素の効果と可能性 (アメリカの学会にて) 

仕事などでもご意見を頂いている慶応大学救急部の先生のチームが発表された水素の効果について拝聴に行ってきました。この学会と言いますのが、AHA(American Heart Association:アメリカ心臓病学会)とResuscitation(日本語で「蘇生」という意味で、簡単に言うと救命医学といったところ)というもので、救急や心臓循環器系の最新トピックスが発表され、世界中からドクターやナース、救命救急士など様々な職種の方が集まっていました。その学会で、病院の外で心臓が止まって蘇生治療をお受けになった患者さんたちにおいて水素を使用すると、退院時どれくらい神経的な回復具合が改善していましたという発表をされました。

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本内容はKBSラジオ「さらピン!キョウト」内コーナー「Dr.村西の健康ライフミーティング」内にて 本院院長・村西寛実がお話しした内容をコラムとして掲載しております。

「さらピン!キョウト」番組サイトhttps://www.kbs-kyoto.co.jp/radio/sara/

コラム内容のラジオ録音  

◆ 2022年現在のアメリカの様子

まず驚いたのが、シカゴ空港に到着した時点でマスクをしている人は皆無で、消毒も置かれてすらいないというところでした。学会会場でもマスクをしている人を探す方が難しいくらいで、入口に消毒もありません。自分自身が普段過ごしている日本とは全く異なる光景で最初は驚きましたが帰国する頃にはそれが普通になっている自分もおり、人間というのはつくづく不思議なものだなとシミジミ考えたりしていました。いくつか街のお店に行ってご飯も食べましたがコロナ禍前と同じ状況になっていました。日本においては現在8波ということで言われていまして、様々な考え方がありますので個人個人がしっかりと考えて行くことが重要でして当院にいらっしゃる方々とは色々意見交換もさせて頂いたりもしています。

◆「水素」とは

水素にはサプリメントや水素水や水素吸入など色々あります。過去に「一部の水素水に何も含まれていなかった」という事件があり印象の良くない方も多いかもしれませんが、水素そのものが持つ酸化(サビ)や炎症を抑える効果というのはあります。臨床的にもインパクトを持つものだと個人的には捉えていますし、それを学術的に調べている方々も多くいらっしゃるというのが実情で、そのうちの一つが今回の発表ということになります。

◆心肺蘇生と水素

病院の外で心臓が止まった方は心肺蘇生されながら病院に搬送されることが多いですが、心臓が止まっている時間によってその後回復した際にどこまで意識が戻るか、歩いて退院ができるかなどが決まってきます。それを神経学的予後と言いますが、今まではその改善方法として体温をコントロールするというアプローチがありました。私自身もドクターカーで現場に出ていたとき、患者さんの心拍が現場で再開した際には冷たい点滴を落とすなどしていたこともあります。それ以上のアプローチがなかなか無かったのですが、今回、人工呼吸器を使って水素を吸入した患者さん達の方が、先ほどお話した神経学的予後が良かったという発表でした。世界的に見てもそういったアプローチされているところはほとんど無いようで強いインパクトがあったのか世界の色々な先生方からの反響が大きかったように見ていて現場で感じました。

◆将来的に広がる水素の可能性

クリニックでの日常診療に落とし込む形で今後、どのように水素を使っていくべきか考えています。以前から水素は活性酸素の除去によって酸化ストレスを軽減してその有効性を発揮すると考えられていますが、直接的な観察というのは難しく、その臨床効果を強いエビデンスとして証明できているとは言えないというのも事実だろうと思います。当院でも以前から吸入の前後で酸化ストレス(カラダに蓄積するサビ)の軽減が得られるのか、サビに抵抗するチカラ(抗酸化力)がどう動いているのかなどデータも取りながら臨床使用させて頂いています。理論上は過剰な酸化ストレスの掛かる病態である心筋梗塞や脳梗塞といった治療に際しても水素によってそのダメージを最小限に留めることも可能なのではと個人的には考えていまして、実際に少人数での報告ですが急性心筋梗塞の緊急治療の際に水素吸入をすることの効果を示唆するものもあります。今回の学会参加で刺激も受けましてまだまだ、分からないことも多い領域ですが引き続き臨床的な効果の検証もしながら進めていきたいと思っています。

https://kyoto.krg.or.jp/prevention/hydrogen/(水素吸入療法)

◆カラダに良いとされる食材『タラ』

今回、アメリカのシーフードのお店で上司と食べた鱈を選んでみました。漢字で雪の魚と書くように、まさに旬の魚ですのでお鍋に入れるなどして取って頂ければと思います。タンパク質も豊富ですし、酸化ストレスの点から言ってもビタミンA、ビタミンEなどが含まれ、免疫系にも重要な亜鉛も含んでいますのでぜひ取り入れて貰えると良いかと思います。

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