京都御池メディカルクリニック[予防医療、検査、がん治療]

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リキッドバイオプシーと癌の超早期発見

近年の技術開発で精度も非常に高くなってきている「リキッドバイオプシー」の簡単な説明と癌の概説をさせていただきます。

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本内容はKBSラジオ「ま~ぶる 竹内弘一のズキューン」内コーナー「Dr.村西の健康ランチミーティング」内にて本院院長・村西寛実がお話しした内容をコラムとして掲載しております。

「ま~ぶる 竹内弘一のズキューン」番組サイト

https://www.kbs-kyoto.co.jp/radio/take/

コラム内容のラジオ録音

◆リキッドバイオプシーとは何か?

リキッドは「液体」、バイオプシーは「生検」という意味になります。「生検」とは疑わしい病変の一部を切り取り腫瘍の存在を詳しく調べて病気の診断を行うものになります。例えば、胃カメラや大腸カメラを受けポリープがあった際にそのポリープを切り取ったご経験がある方もおられるかと思いますがそれが「生検」です。つまり、リキッドバイオプシーとは、「人体に存在する液体成分を使用した生検」を示していますが、近年の技術開発で血液や尿、唾液といったヒトに存在する液体成分から癌細胞を捉えるといった検査が可能となりその精度は日々上昇しています。そのため、癌が出してくれる細かい情報を捉え超早期発見に繋げる検査や、すでに癌に罹患されている患者さんの治療方針の決定や再発予防にも用いることが可能です。

◆なぜ「癌」は発症するのか?

私たちのカラダは60兆個の細胞からできており、日々6000億個の細胞が入れ替わるというお話を以前させて頂いたかと思いますが(1月26日第二回:水素と活性酸素と私)、その6000億個の細胞が入れ替わる度にカラダの設計図であるDNAがコピーミスを起こしたり、様々な外的要因により遺伝子に異常が発生し正常な細胞が徐々に異常な細胞(異型細胞)へと変化していきます。初期の段階においては「がん抑制遺伝子」と呼ばれるものや、いわゆる「免疫機能」というものがその増殖を抑えていますが、その綱の引き合い勝負において「異型細胞や癌細胞」が勝っていってしまうと癌細胞が増殖を開始していきます。

◆癌細胞の発生にはどのくらいの期間がかかるの?

異常な細胞が発生してからPET-CTという検査で検出可能な5㎜程度の腫瘍となるまでに、癌腫によって幅はありますが5~20年かかるとされています。「癌」は生活習慣病の一部といわれていますが、喫煙や運動習慣、食生活、過労や睡眠不足などの生活習慣とかなり密接に関係しています。「癌」と一言で言っても様々な疾患があり一概に言い切ることはできませんが、癌細胞は元を辿っていくとご自身の細胞でありご自身が今まで送ってきた人生の結果として鏡に映し出すようなカタチで発生しています。もし、今過ごしている生活習慣を良くないなぁと感じておられる方がいましたら、2人に1人が癌になる時代ですのでそことどう向き合っていくかはしっかりと考えておいて良いかと思います。

◆「癌」の早期発見と5年生存率

「癌」は医学の進歩もあり、癌腫によりばらつきはありますが遠隔転移のない状態の早期発見さえできれば、5年生存率は全ての癌でトータルすると90%近いと報告されています。この数字をみても2人に1人が癌になるこの時代の中で、いかに早く見つけておくかが重要であるということは明らかです。いわゆる検診における検査で全ての癌腫をカバーするのは難しいですし(むしろカバーしていないことが殆どです)、人間ドックでPET-CTという検査をお受けになっている方もいらっしゃるかと思いますが、PET-CTでは5㎜以下の病変だと検出できないケースもあるのでその結果の解釈には注意が必要かもしれません。そこで、一つの選択肢となりえるのが今回の「リキッドバイオプシー」になります。

◆癌の超早期発見のために「リキッドバイオプシー」を活用

リキッドバイオプシー検査は、唾液や尿を検体として癌細胞が出す特定物質を検出するような検査から血液検査で血液中に存在する癌細胞のDNA/RNAや遺伝子異常を検出する検査まで様々あり、それぞれ検査の精度や目的が異なっています。採血でのリキッドバイオプシー検査については精度も比較的高いので、1~2日かけて数多くの検査をする時間のない方や濃厚な癌の家族歴のある方などは最初のスクリーニング検査として血液を使用したリキッドバイオプシー検査も選択肢の一つにはなるかと考えています。

◆癌の再発予防のために「リキッドバイオプシー」を活用

癌に一度罹患され治療をお受けなって、CTやMRIと言われる画像検査上では癌が消えておられる方のなかで再発しないだろうか・・とご心配され日々を過ごしておられる方も多くいらっしゃいます。そのようなケースにおいても、このリキッドバイオプシー検査はカラダの状態を細胞レベルでフォローしていく一つの指標となります。実際に大腸がん術後患者様のフォローをこのリキッドバイオプシーを用いて行うという臨床治験が既に日本でも進んでいます。全てのフィールドにおいてそうですが、医療はよりミクロな世界へのアプローチへと変化していますし、テクノロジーの進化によりその変化はより加速度的になっていくように感じています。

◆免疫の向上効果が期待できる食材『しいたけ』

特定の食材で癌を予防したり治癒させたりするのは正直難しいです。言い尽くされたことですがやはり、野菜や果物、キノコ類、魚などを中心としてバランスよく食べるというのが何よりも大事かと思います。しいたけは、βグルカンという物質と食物繊維を豊富に含んでいて、このβグルカンが免疫系を活性化しますし食物繊維は腸内環境を改善し結果、免疫向上に繋がります。個人的にはシンプルに焼いてポン酢と鰹節だけで食べるのが好きですが、煮物やお鍋にも使えますので、バランス良い食事にするための一品としてぜひ試してみてください。

尚、「Dr.村西の健康ランチミーティング」は4月の番組改変に伴い、新番組「さらピン!キョウト」内のコーナーとして「Dr.村西の健康ライフミーティング」としてリニューアル予定です。ご期待ください。

KBSラジオ 第二・第四火曜日16:10頃~放送予定

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