京都御池メディカルクリニック[予防医療、検査、がん治療]

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ビタミンDのチカラ =第2回目=

前回ビタミンDという栄養素の役割、どういった形でカラダに取り込むのか?や当院の採血データから推測できる現状などをお話しました。今日はその続きで、医療におけるビタミンDの位置づけみたいなところで、各疾患に対して実施されている臨床試験の結果なども参考にしながらお話をさせて頂ければと思います。

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本内容はKBSラジオ「さらピン!キョウト」内コーナー「Dr.村西の健康ライフミーティング」内にて 本院院長・村西寛実がお話しした内容をコラムとして掲載しております。

「さらピン!キョウト」番組サイトhttps://www.kbs-kyoto.co.jp/radio/sara/

コラム内容のラジオ録音  

◆ビタミンD不足の方の傾向

前回の最後に当院でのデータから、日常生活にはあまり支障はないけれど潜在的にビタミンDが不足されている方が多い印象であることをお伝えしました。実際にどんな方に気を付けて頂きたいかと言うと、夜型の生活の方や室内でほとんどを過ごしている方のように日光を浴びる機会が少ない方はもちろん、日焼け止めを毎日塗っている方、あと実はアレルギーで悩んでいる方や風邪を引きやすい方などもこのビタミンD欠乏を修正するだけで改善傾向になる方もいるので、こういった方々にご自身はビタミンD不足かもしれないなと感じて頂ければと思います。

◆ビタミンDと病気の関係

実際に臨床研究では、症例数が少ないので注意は必要ですが、例えばビタミンDの補充によって冬場のインフルエンザ発症率を下げるデータがあります。一方で、ビタミンDの補充と気道感染症との関連性は認めないと言った報告があるのも事実で、賛否両論のようです。去年Lancetという有名な論文に出たエビデンスレベルの高い報告では、ビタミンDの補充による気道感染症のリスク軽減効果はわずかではあるがどうやらありそうだと言っています。他にも新型コロナウイルス感染症が始まってからそういった臨床研究の論文は複数ありまして、直近の報告ではビタミンD濃度がどうやら重症化率や死亡率と関連性がありそうだという結論に現状なっています。

それから強力なエビデンスとはまだ言えませんが、ビタミン D が肝臓がん、大腸がん、前立腺がん、肺がん、卵巣がん、この辺りのリスクを下げることが示唆されています。2018年に国立がんセンターが行った大規模な研究でも、ビタミン D 濃度が高いほど、がんに罹患するリスクが 25%も低いことが報告されています。信頼性の高い疫学調査だと思いますのでどうやら抗がん効果はありそうだと個人的には考えています。骨粗しょう症に対する予防効果があるのはすでに明らかですが、その他にも肥満を含めたメタボリックシンドロームやうつ病との関連性も報告されていて、ビタミン D は多くの疾患を改善し死亡率を低下させる可能性を秘めていると考えています。エビデンスの質としてはまだ弱い研究が多いのも事実ですが、一方でビタミン D 治療の可能性が否定されるものでもないと個人的には考えています。

◆ビタミンDサプリメント摂取時の注意点

今回のお話を聞いて、早速買いに行ってビタミンD内服しよかと思われた方も多いかもしれませんが、いつもお話しているとおり、サプリメントといえども使い方によっては悪い側面(副作用)が出ることもあり得ますし、他の薬と併用することでかえって副作用が強く出ることもあります。できれば医療機関で相談して、それを内服することの意味を一緒に確認しながら進めて頂くのが良いのではないかと思っています。ビタミンDは、ビタミン B・ビタミンCのような水溶性ビタミン(水に溶けるビタミン)とは異なり、過剰なものが尿として排泄されずにカラダに蓄積します。つまりは漫然と内服していると過剰な状態になっていることもありますので、ここは必ずご注意ください。例えば、夏場は日照時間の関係上、血液中のビタミンD濃度が上がる傾向にあります(同一患者さんで夏場と冬場で確認したところ夏場の方が高めでした)。当クリニックではもちろん、内服されている方には、安全のため定期的な採血でのチェックをお勧めしています。もちろんワクチンや内服薬や色々あるとは思いますが、結局のところウイルスも含めそういったものと戦うのは自分自身の身体です。整った食事と運動は大前提として、その上乗せとしてビタミンDに目を向けてみるのも良いかなと思っています。

◆カラダに良いとされる食材『サケ』

実は2回目の登場、アスタキサンチンの回で出てきた食材でした。抗酸化作用のあるアスタキサンチンのみならず、今回お話したビタミンDも豊富に含んでいますので食卓にぜひ並べて頂ければとも思います。日照時間が短くビタミンDが不足しがちな冬に、ビタミンDを多く含んでいるサケが旬として我々に与えられているのも不思議に思います。現在の世界情勢を見るとサケの価格も上がってくるかもしれませんが、その辺りも考えながらぜひ感謝して頂いてほしいと思います。

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