京都御池メディカルクリニック[予防医療、検査、がん治療]

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血糖値スパイク・続編

前回は「血糖値スパイク」という言葉の説明とその臨床的な意味、ヘモグロビンA1cという数値が正常でも意外に多くの方にこの現象が起こっているといったお話をしました。今回はもう少し突っ込んで、どのような方にリスクがあるのかとか、検査方法、気を付けること、といったところをご説明いたします。皆様は健康診断で血糖値が高いとか、ヘモグロビンA1cが高いなどと指摘されたことはありますでしょうか?

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本内容はKBSラジオ「さらピン!キョウト」内コーナー「Dr.村西の健康ライフミーティング」内にて 本院院長・村西寛実がお話しした内容をコラムとして掲載しております。

「さらピン!キョウト」番組サイトhttps://www.kbs-kyoto.co.jp/radio/sara/

コラム内容のラジオ録音  

◆「血糖値スパイク」は体にダメージ

まずはこの血糖値スパイクが持つ怖さについてのお話ですが、血管壁の細胞を使ってこの乱高下を再現した研究では、血管壁の細胞に活性酸素が過剰に蓄積したということで、そこから血管壁の障害が起こって心血管病(心筋梗塞や脳卒中など)を引き起こすと考えられています。この研究はあくまで細胞を用いて再現したものですが、実際の臨床報告も様々あり、欧州での研究を複数まとめた報告では、食後の血糖値が高いことが心臓や脳の血管病や死亡率のリスクを上昇させるということが示されています。こういった結果からもやはり食後の血糖値が高い、跳ね上がっているというのはどうやらカラダには良くなさそうと言って良いかと思います。

◆食後の血糖値に気を付けた方が良い人

普段ご飯を食べたあとの自分の血糖値を気にしている人は多くないと思いますが、どういった方がこの辺り気を付けてほしいかと言いますと、

①BMIが25以上の方(簡単に言うと太っているということですが)

②カロリー摂取過多になりがちな外食の頻度が高い方

③食べる速度の速い方

④スイーツやジュースなど飲む機会が多い方や炭水化物メインの食事になってしまっている方

⑤野菜やきのこ・海藻類の摂取頻度が少ない方

⑥運動をあまりしない方

などが挙げられます。この辺り該当するという方は、少しカラダに気を配っておいてあげてほしいと思います。自分自身も気を付けないといけないなと時折思うのですが、仕事や趣味に夢中になって食事がおろそかになることが多いという方、結構多いのではないでしょうか?前回お話しした、食後に眠気やだるさが強いとか、あるいは集中力の持続が難しいといったような方もこの辺りに少し意識を置いてみてはと思っています。

◆食後の血糖値測定方法 (経口ブドウ糖負荷試験)

当院は自由診療クリニックですので、その辺りのご相談があった際には保険を使用できる保険診療の医療機関に紹介させて頂くことにしています。ブドウ糖を内服する前、30分、60分、120分後に血糖値をチェックする「経口ブドウ糖負荷試験」というもので食後高血糖の診断を付けることができますし、二の腕のところに専用の機械を装着して2週間のあいだ血糖値の変化をチェックできるような検査もあります。内科のかかりつけ医がいる方は相談頂き、結果に応じて日常生活でできる予防介入を開始してもらうのが良いかなと思います。

◆日常生活でできる予防

結局のところ食事と運動です。もちろん時間は有限でそれぞれの自由ではあるのですが、今日のお話を知った上でどうしていくのが自分の人生にとって良いのかというのは一度考えて頂けると良いかと思います。「よく噛んで食べなさい」と言われてきた方も多いと思いますが、それも血糖値の急上昇を抑える一つの策です。食事のとき、いきなり炭水化物を食べないといった食べる順番や、摂取率の低下している海藻やキノコ類などや野菜類も含めて食べるもののバランスを考える(炭水化物の組み合わせには要注意)、食後にある程度の活動を行う(例えば外食の後、わざと遠回りして歩いて会社に戻るとか)など色々とあります。血糖値の上げやすさの指標であるGI(グリセミックインデックス)を気にしながら食事を構成するというのもひとつです。調べて頂くと様々な食材の情報が出て来ますのでご活用いただけると良いかなと思っています。前回・今回のお話を聞いて、一度ご自身の食生活や血糖値スパイクについてそれぞれが見直したり少しでも意識を向けて貰えるだけでも意味があるかなと思いますし、自分自身も気を付けて行きたいと思います。

◆カラダに良いとされる食材『五穀米』です!

GIがより低く、精白米を毎回食べるよりも血糖値の上昇については抑えることができます。自分の家でも白米を食べる時期と意識的にこの五穀米や雑穀米、玄米などを食べる時期を調整しています。白米美味しいですがGIは高いので、気にかかる方はこの辺りを変えてみるなど、一度ご無理ないよう試して貰えると良いかと思います。

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