がん治療・再発予防αリポ酸点滴
α-リポ酸(アルファリポ酸)とは?
α(アルファ)リポ酸はビタミンB群の1つであり、細胞の重要なエネルギー代謝に関与しています。 細胞に存在するミトコンドリアはブドウ糖などの有機物を酸素によって分解しエネルギーを作る工場の役割をしています。αリポ酸はこのミトコンドリアを活性化する作用を持っており、食事から摂取するブドウ糖のエネルギー変換効率を上げ、活性酸素を抑制して老化を強力に防ぐ作用があります。 αリポ酸が持つ抗酸化力はビタミンCやビタミンEの400倍にもなるとされています。それに加え、他の抗酸化成分であるCoQ10(コエンザイムQ10)・ビタミンC・ビタミンE・グルタチオンなどを再生利用する効果も持ち合わせています。
効果
αリポ酸は水溶性・脂溶性どちらのビタミンに作用することができるため、糖類の代謝に関係するビタミンB1、脂肪の代謝に関係するビタミンB2、タンパク質の代謝に関係するビタミンB6、コラーゲンの代謝に関係するビタミンC、カルシウムの代謝に関係するビタミンD、眼の視力維持や白内障の予防に関係するビタミンAなど全てのビタミンの抗酸化力を再生利用する働きがあります。
不規則な食生活やストレスで発生したフリーラジカルによってミトコンドリア機能が低下すると私たちが生きるために必要なエネルギー源となるATP(アデノシン三リン酸)の産生効率が低下します。αリポ酸はATPを作るのに必要不可欠な働きをしており補うことでATPが産生効率が上昇します。
αリポ酸は水溶性・脂溶性どちらにも働くことができるため、血液や脳脊髄液そして脳、心臓、膵臓、腎臓、肝臓、骨、関節、体脂肪など、あらゆる臓器のあらゆる細胞において抗酸化物質として働くことが可能です。
(引用:Clin Exp Pharmacol Physiol. 2020 Dec;47(12):1883-1890)
αリポ酸と抗がん作用
- 細胞へダメージを与え癌化の原因となるフリーラジカルを減少させる。
- がんの発生に関わるとされる転写因子(Nfκβ)の活性を阻害する。
- 免疫に関与するリンパ球のひとつであるT細胞の活性を向上する。
- がん細胞をアポトーシス(細胞死)に導き、また酸素を使った好気性解糖を活性化させることで、がん細胞のアポトーシスを促進させる。
- がん細胞のアポトーシスにおける阻害因子を抑制し、促進因子を活性化することでがん細胞のアポトーシスが起こりやすくなる。
- 新生血管の形成を抑制する。
以上のようなことが前臨床試験において確認をされています。
がん治療におけるアルファリポ酸点滴療法の特徴
- 標準治療(手術、抗がん剤、放射線治療)との併用が可能である。
- 高濃度ビタミンC点滴療法との併用によりその効果が増強する
- 高濃度ビタミンC点滴療法の実施が難しい患者様(胸水・腹水の貯留や慢性腎臓病)においても治療適応となる。
適応
乳がん、肺がん、膵がん、肝がん、食道がん、胃がん、大腸がん、直腸がん、腎がん、膀胱がん、前立腺がん、子宮がん、卵巣がん、悪性リンパ腫など、概ねすべてのがんの原発巣や再発・転移の治療やがん予防に。
治療の流れ
- 1回の投与量は600㎎を目標としており、初回投与は300㎎(体格に応じて150㎎)から開始することを基本としています。2回目以降で300、600㎎と増やしていき、維持量に到達させます。
- 30~60分の点滴投与
- 抗がん剤治療、放射線治療中は週2回のペースでご継続することをお勧めしています。標準治療を終了された方は週2回ペースでまずは1ヶ月からご継続することをお勧めしており高濃度ビタミン点滴と併用する場合は、高濃度ビタミン点滴から点滴を開始することを基本としています。
副作用
アルファリポ酸点滴療法の副作用として、穿刺部位の痛みや灼熱感、また稀に低血糖症状(冷汗、寒さ、震え、動悸など)の出現がみられることがあります。
アルファリポ酸はもともと体内で生産される物質のため、大量に摂りすぎなければ副作用や過剰症はまずありません。
大量(1日1200mg以上)に投与したときの副作用として、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、倦怠感、不眠が見られます。 血糖を低下させる作用があるので、血糖降下剤を服用中の患者様は注意が必要となります。アレルギー反応として発疹やかゆみが見られることがあり尿の臭いが強くなることもあります。
アルファリポ酸はビタミンBの消費を亢進させるので、点滴終了後にビタミンB群製剤を追加投与させていただきます。
ご提案している患者様
- 現在あるいは今後、がん標準治療をお受けになる患者様の併用として
- がん標準治療後の再発転移予防として
- 生活習慣病治療中の患者様
- 食生活の乱れ、睡眠不足、運動不足の方
がん治療との併用から未病に対するアプローチまで幅広い方々にお勧めをしています
※αリポ酸点滴につきまして、当院では高濃度ビタミンC点滴との併用をお勧めしております
(参考文献)
1. Clin Exp Pharmacol Physiol. 2020 Dec;47(12):1883-1890
2. Apoptosis. 2005 Mar;10(2):359-68.
3. FEBS Open Bio. 2020 Apr;10(4):607-618.
4. Neoplasma. 2008;55(2):81-6.
5. Anticancer Research June 2017, 37 (6) 2893-2898
6. Int J Oncol. 2016 Oct;49(4):1445-56.
未承認医薬品等であることの明示、入手経路等の明示
本治療に用いるαリポ酸製剤は、医薬品医療機器等法上の承認を得ていないものです。「医師等の個人輸入」により適法な輸入許可を得ています。日本では、未承認医療機器を、医師の責任において使用することができます。
国内の承認医薬品等の有無の明示
本治療に使用できる同一の性能を有する他の国内承認医療機器はありません。
治療の流れ(当院での治療は通院してお受けいただいております)
STEP-1 カウンセリング・問診医師が状態を診断し、治療の内容について詳しくご説明致します。
STEP-2 点滴1回30-60分程度の点滴です。
※点滴量やお身体の状態により点滴時間は異なります
※点滴量、治療頻度や回数については医師とご相談いただいております
STEP-3 治療効果の評価1セット治療の終了後に、治療効果を評価します。
また、検査の結果等参考にその後継続可能な治療を検討致します。