京都御池メディカルクリニック[予防医療、検査、がん治療]

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「正月で食べ過ぎていませんか?」

明けましておめでとうございます、今年もよろしくお願いいたします。皆様どのようなお正月をお過ごしされましたでしょうか?たくさん食べて、たくさん呑んで、という方が多いのではないでしょうか。休んでいるはずが正月に食べ過ぎて呑み過ぎて逆にカラダが疲れたなと感じましたので自己反省も含めまして、今日は食事量と予防医療という、難しい話を簡単にかみ砕いてお話させて頂きます。

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本内容はKBSラジオ「さらピン!キョウト」内コーナー「Dr.村西の健康ライフミーティング」内にて 本院院長・村西寛実がお話しした内容をコラムとして掲載しております。

「さらピン!キョウト」番組サイトhttps://www.kbs-kyoto.co.jp/radio/sara/

コラム内容のラジオ録音

オートファジーとは ‐細胞を生まれ変わらせる仕組み‐

最近、健康ライフのためのいわゆる「プチ断食」が取り上げられることがあります。その考え方の根底にあるのが「オートファジー」と言われるものです。ギリシャ語の「オート(自ら)」と「ファジー(食べる)」を組み合わせた造語で、簡単に申し上げますと、細胞内に存在するたんぱく質などから余分なものを取り除いて細胞自体を生まれ変わらせるカラダが持っている仕組みのことです。

これが最近注目されてきているのは、近年の研究でオートファジーを活発にしておくことが老化や病気の予防と関わることが分かってきたからです。今現在分かってきていることを読んでみますと概ね全てが細胞レベルや動物実験での話で、人間のカラダ全体でそれが適用できるのかは明確にはなっていないというのが実情だと思いますが、その可能性は十分にあるのではないかと個人的には考えています。自分自身も実践していまして体調は上がっている印象はあります。一方で、2016年に「オートファジーの仕組みの解明」というのがノーベル賞を受賞して、現在2022年といったそのくらいの時間経過ですので、まだまだ分かっていないところも多いです。人間に対するエビデンスという観点から見ると道半ばというのが正直なところですので一つの意見として聞いてもらい体調改善のため試して頂ければよいかなと思います。当院の患者様では、これを実践して頂くことで体調が良くなった方も多い印象です。試してみる価値はあると考えています。

プチ断食・糖質制限 ‐オートファジーを活性させる方法

オートファジーを健康ライフに活かしていく前の知識として、簡単に人間のカラダがエネルギーをどう作っているかお話したいと思います。人間はエネルギーを作り出すときに、まずブドウ糖(糖分)を使用します。ブドウ糖が枯渇してくると、次にタンパク質や脂肪を使ってエネルギーを作り出すような仕組みになっています。この脂肪をエネルギーに変換する際にケトン体という物質が出現します。ケトン体は様々な細胞の修復や劣化を防ぐなどの効果があって実際に臨床でも使用されていたり、オートファジーとの関連性も報告されてきたりしています。

そう考えると、ケトン体を作り出してオートファジーを活発にしておくことが広い意味でのアンチエイジングに繋がるということになりますが、ブドウ糖があり続ける以上は脂肪などをエネルギー源として使用する割合が非常に少なくなり、結果ケトン体も少なくなり、オートファジーが活発になりにくくなります。ですから、ブドウ糖をある程度枯渇させるためプチ断食、あるいは糖質制限をしてこのケトン体をカラダのなかで作らせようというのがこの方法の本質的な部分になるのかなと個人的には捉えています。

一方で美味しいものを食べる、美味しいお酒を飲むというのも人生の楽しみですから結局そこはバランスということになるのだと思います。今日はぜひ、このケトン体とオートファジーを覚えてもらって、書籍やwebの情報など上手に使って知識を付けられるのも良いかもしれません。今日のお話はオートファジーの基礎編です。次回は深掘りしまして実践編のお話ができればと思っていますのでぜひお聞き頂ければと思います。

※ 無理な食事制限・断食はくれぐれもなさらないようお気をつけ下さい!お医者さんに一度相談してみるのも良いかもしれません。

◆カラダに良いとされる食材『ナッツ』

今回、お話した断食とか糖質制限、オートファジーといったものはどうやらカラダの健康維持には良さそうですが、無理なく続けられないとその方の人生という大きな観点から考えると意義の乏しいものになってしまいます。私もですが、空腹の時間帯に饅頭など差し出されますと食べてしまうこともあります。そうなるとせっかく活発になりかけているオートファジーは弱まりますので、そんなときにはナッツなどを使ってもらえたらと思います。他にも野菜サラダやチーズなど糖質が少なくカロリーの低いものであれば問題ないですので、こういった中休みをうまく使いながら、まずは週1日からで良いので試して頂ければと思います。

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