京都御池メディカルクリニック[予防医療、検査、がん治療]

TOP > コラム > ポリファーマシーとは? 問題と対策方法

ポリファーマシーとは? 問題と対策方法

私自身は現在、自由診療という、保険診療とは異なる形態で医療を提供していますが、元来は15年以上保険診療医として総合病院で内科医として勤務してきました。基本的には西洋医学をベースに、いわゆるエビデンス(科学的根拠)を重視して治療などを選択してきました。今もその姿勢に変化はないのですが、バランスを取ることが重要だと最近は特に感じております。簡単にお伝えすると、患者様の状態を見て、その症状や病気に対してエビデンスのある薬剤を選択し処方するという形ですが、この問題点として近年話題になっているのが「ポリファーマシー」という言葉です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

本内容はKBSラジオ「さらピン!キョウト」内コーナー「Dr.村西の健康ライフミーティング」内にて本院院長・村西寛実がお話しした内容をコラムとして掲載しております。

「さらピン!キョウト」番組サイト

https://www.kbs-kyoto.co.jp/radio/sara/

コラム内容のラジオ録音

◆「ポリファーマシー」とは?

ポリファーマシーの「ポリ」は「多くの」という意味、「ファーマシー」は「薬剤」という意味です。日本語で言うと「多剤併用」、つまり「多くの薬を服用することで有害な事象をもたらすもの」をポリファーマシーと呼んでいます。これは、単に服用する薬の数が多いことではなく、それに関連する有害事象(いわゆる副作用)のリスク増加や、間違った内服といった問題につながる状態のことを指します。

◆何種類以上併用が「ポリファーマシー」?

高齢化社会が加速度的に進行していく中で、6年前くらいに日本老年医学会がまとめた『高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015』では、6種類以上の薬を服用すると有害事象の発現頻度が高くなるという報告から引用して、6以上の多剤内服を「ポリファーマシー」と定義しています。とはいっても、3種類でも4種類でも併用による副作用の可能性はあります。患者様の状態や体質、生活環境や、認知機能(ここは大きな問題となります)など、つまりは患者様の背景を考慮した上で現在の投薬が適切なのかどうかを判断することが何よりも重要なのかなと考えています。

◆「ポリファーマシー」の注意点

エビデンスのある薬剤というのは当たり前に効果がありますが、もちろんデメリットもあります。言われたままに漫然と継続せず、その薬剤が自分にとって継続が必要なのかを主治医の先生方と相談しながら適宜検討を繰り返していく必要があるのではと思います。

例えばスタチンというコレステロールを下げる薬がありまして、これは非常に良い薬だと思いますしデータも多く出ています。私自身も、特に動脈硬化性疾患(心筋梗塞や脳梗塞など)の患者様にたくさん処方をしてきました。一方で、ミトコンドリアでのエネルギー生産に重要なコエンザイムQ10といわれる物質の合成を抑制する作用があり、スタチンを内服されている患者様はコエンザイムQ10が低下していたという報告もあります。

エビデンスに100%守られているわけではありませんので、アンテナを張ってそういった副次的な作用が無いか確認しておくことが重要かもしれないなと思いますし、私自身が知っていることは日々診療のなかで患者様へお伝えするようにしています。

◆すでに多剤併用されている場合の対応

どうしてもご高齢になってきますと身体の不調は様々出てきますし、慢性疾患を複数併発される患者様も多いので、各診療科に受診していくうちに投薬が増えていくというのはよくあることです。

私自身も自己反省を含めてお話をしますと、患者様の訴えに対して検査を行い、病名や症状の原因を特定し、エビデンスが出ている薬剤を処方するといった形で一人の患者様が内服されている薬剤が6種類を超えることは多々あったように思います。そしてそういった患者様が例えば、足腰が痛い、眠りが悪い、尿漏れがするなどで各診療科に受診され、さらに投薬は増えているといったことも多くありました。

ただ、ポリファーマシーに対する警鐘ばかりが注目され、今度は逆に適切な投薬がなされなくなってしまうとそれはそれで患者様の不利益にもなりますので、そこはバランスなのだと思います。そういった意味で、例えば、これはあくまで動物実験モデルではありますが、1日1時間の水素吸入が自律神経を調整させ血圧管理を良好にさせるという報告や脳波を副交感神経優位にするといった報告もあるので、以前紹介した水素吸入など、カラダに負担のない何らかの介入を行い、投薬を減らしていくという方向性としては良いのではないかと考えています。

◆カラダに良いとされる食材『トマト』

水素吸入による自律神経の調整で高血圧へアプロ―チするとお話ししましたが、この自律神経を調整させる作用のある成分を含むのがこのトマトです。もちろんトマトだけ食べていれば大丈夫ということではないですが、トマトには「ギャバ」というアミノ酸の一種で神経伝達物質として働く成分が含まれています。40歳代から脳内のギャバは急激に減少して10代の半分になると言われ、ギャバが不足するとカラダやココロを緊張状態に導く交感神経が優位になりますので是非スーパーで手に取って頂ければと思います。うちの息子はまだ4歳ですが、冷凍ミニトマト大好きでアイスシャーベット感覚で食べていますので、暑い夏にはそういったトマトの使い方も良いのではないかなと思います。

TOP