京都御池メディカルクリニック[予防医療、検査、がん治療]

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AGEs(エイジズ)を知って普段の生活見直してみませんか?

老化の一つの指標とされているAGEsの医学的な意義や、その測定結果からどう日常生活や治療に活かすかなどお話できればと思います。

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本内容はKBSラジオ「さらピン!キョウト」内コーナー「Dr.村西の健康ライフミーティング」内にて本院院長・村西寛実がお話しした内容をコラムとして掲載しております。

「さらピン!キョウト」番組サイト

https://www.kbs-kyoto.co.jp/radio/sara/

コラム内容のラジオ録音

◆AGEsとは??

ここ最近は日差しもどんどん強くなってきて紫外線も強く感じるようになってきました。日々、活性酸素が蓄積していっている方も多いように思います。以前お話しました「活性酸素」というのは我々のカラダの細胞を質の悪い細胞へと変化させる物質で、アンチエイジング治療アプローチの根本的なところでした。今日お話させていただく「AGEs(エイジズ)」は終末糖化産物と言いまして、体内に蓄積された過剰な糖分と蛋白質が結合してできるこれも「活性酸素」や「酸化ストレス」と同じくエイジング、老化を促進する物質となります。非常に簡単に言い換えますと「老化物質」ということです。少し分かりづらいかと思いますが、イメージとしては過剰に摂取した糖分と体内のタンパク質が結合し焦げ付いているような感じで、パンをトースターで焼きすぎて真っ黒こげになっているというそんなイメージです。我々のカラダの、例えば血管や皮膚などはタンパク質からできています。その部位においてタンパク質が真っ黒こげになってしまいますと勿論その細胞や組織の機能が低下することになります。それが臨床的には血圧上昇や心臓疾患や脳血管疾患、美容の面で言いますとシワやたるみといった形で出現してくることになります。このAGEsについてはその蓄積について細かいメカニズムまで分かってきてはいますが、そこは一旦置いておいて、噛み砕いて簡単に言ってしまうと「過剰な糖分が体内のタンパク質を劣化させてしまって、様々なカラダの機能の異常を出現させる」ということになります。このAGEsと各種疾患との関連性は様々な報告がなされており、たとえば60歳以上の方の骨格筋力の低下や骨密度の低下などとの関連性が示されています。また面白い研究もありましてデンマークのコペンハーゲンで1万人を35年くらい追跡した研究において「老け顔の人は寿命が短い」みたいなデータも出ていたりしますので、やはりカラダの内と外の老化はパラレルして進んでいくんだなと感じています。このAGEsと腸内細菌叢との関連性も言われておりまして、ラクトバチルスという善玉菌を減少させていくことが示されていますので、最終的には腸内細菌叢の悪化からアレルギーや免疫力低下といったことに繋がってくるとも考えられています。

◆AGEsはなぜ蓄積するのでしょうか?

では、どうしてこのAGEsがカラダに蓄積していくのかというお話ですが、メカニズムとしては大雑把に言いますと①体内で作られる、②食事から直接摂取するの2つになります。一つ目の体内で作られることについては「過剰な食事やカロリーの取りすぎで血液中のブドウ糖が過剰な状態が続くと人体の細胞や組織、臓器を作っているタンパク質に糖が結び付き、それが体温で熱せられてAGEs ができる」という流れになります。2つ目の食事から直接摂取するというのは文字通りですが、AGEsを含有しているものを多く摂取するということです。ですので、AGEs蓄積の最初の出発地点である「ブドウ糖が過剰に血液中にある状態」を回避する必要があります。結局のところ食べ過ぎない、カロリーを取りすぎないということが重要になります。では、どうすれば良いのかということになりますが、よく言われているのは①食後に血糖値が高い状態が続くとAGEsはどんどん作られますので、急激に血糖値を上げないようにサラダなどの食物繊維から摂取して頂いて炭水化物は最後の方に食べるということ(食事の順番を考える)、②間食をして血糖値が高い状態を持続させない、③急激な血糖値上昇に繋がる甘い飲み物は極力避けること、④AGEsの含有量の多い揚げ物や焼き物は控えておくなどがあります。とはいえ、たまに焼肉や唐揚げなども食べたくなりますし、コンビニとかでは絶妙な位置に唐揚げとかフライドポテトなど置いていたりしますので要注意です。もちろん食べることも人生の楽しみの一つではあるので、その辺りは理想と現実で、摂取量やそのバランスなのかなと個人的には考えています。

◆AGEs蓄積を抑制するために何ができるでしょうか?

食事のことでいうと、あれダメ、これダメになってしまいますが、逆にAGEsを産生する「糖化」を抑えるαリポ酸という物質を含んでいる野菜類やきのこ、海藻類などを積極的に食事に取り入れてもらうのが良いかと思います。やはり「日本人古来のお食事」は非常にバランスが良く、原点回帰するのが重要なのだと思います。とは言っても、なかなかそれが難しい方にはαリポ酸の点滴もありますのでご希望の方はご相談頂ければと思います。

https://kyoto.krg.or.jp/prevention/alpha_lipoic/(αリポ酸点滴)

とはいえ、結局のところ大前提としてやはり生活習慣を整えることが何よりも重要で定期的な運動を継続することは基礎代謝を上げますし、食後に動く(家事をするなど)のも食後血糖値の上昇を抑えますのでお勧めです。睡眠不足やストレスもAGEs蓄積に繋がるので避けてもらえたらと思います(なかなか難しい方も多いと思いますが)。ですので、動画サイトを見ながらダラダラとお菓子やジュース、アルコールを摂取し夜更かしをして睡眠不足になっているという生活はまさにAGEsを絶賛蓄積中の状態になります。とはいえここもやはり理想と現実で、人間の人生には様々なライフイベントがありますので、理想的な食生活、生活習慣の継続が難しい局面も多くあるかと思いますが意識しておくだけでも大きく変わると思っています。AGEs蓄積を抑えて、日々日々蓄積していっている活性酸素をコントロールできるよう様々なアプローチは自分自身も取っていますので気になった方はぜひ一度、ご相談にいらして頂ければと思っています。

◆カラダに良いとされる食材『ブロッコリースプラウト』

今日、話題に上げました「AGEs」に対抗することが示されている「スルフォラファン」という物質がブロッコリースプラウトには豊富に含まれていまして今日お話した糖分とタンパク質との結合を抑制する働きがあります。また、前回のラジオで話題に挙げましたクルクミンにも抗AGEs効果がありますのでサプリメントを含め検討するのも良いかと思いますし、実はお酢にもそういった効果がありますので酢の物を一品食卓に並べていただくのも良いかもしれません。ブロッコリースプラウトは邪魔をしない食材で様々な使い方ができるかと思いますのでぜひAGEsを撃退するため一度手に取ってもらったら良いかと思います。

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