京都御池メディカルクリニック[予防医療、検査、がん治療]

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オートファジー実践編

前回のコラムにて「ケトン体」とか「オートファジー」といったお話を致しました。人間のカラダはブドウ糖が枯渇してくると脂肪をエネルギーに変えていきます。その際にできるケトン体というものが細胞の劣化を防いだり修復したり、あるいは細胞内の不要なものを再利用して細胞を生まれ変わらせるオートファジーという現象に関係しているといった話でした。今回はその辺りを深掘りして自身が取り組んでいることなども踏まえながら実践編ということでお話をさせていただきます。

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本内容はKBSラジオ「さらピン!キョウト」内コーナー「Dr.村西の健康ライフミーティング」内にて 本院院長・村西寛実がお話しした内容をコラムとして掲載しております。

「さらピン!キョウト」番組サイトhttps://www.kbs-kyoto.co.jp/radio/sara/

コラム内容のラジオ録音   

◆糖質制限と断食がオートファジーのキーワード

糖分を使っている以上は脂肪からエネルギーを作り出す割合が少なくなるため、結果ケトン体は増えにくく、オートファジーもなかなか活発になりません。そこで出て来るのが、糖質制限や断食といった言葉ですが、むやみやたらにやるのも一定のリスクもありますし、特に基礎疾患をお持ちの方は注意が必要です。糖質を制限したり、一定時間の断食をしたりしますと体内のブドウ糖が枯渇してくるので脂肪からエネルギーを作り出す回路が回り始めます。それによってオートファジーも活発化して臨床的な効果を出してくれる可能性が出てくるということになります。

◆具体的な糖質制限・断食の方法

例えば、19時に晩御飯を食べ終えたとして、その後間食などせずに寝たとします。朝7時に起きるとそれで12時間経過していることになります。朝ごはんを糖分の入っていない水分のみで過ごして、お昼の12時の時点で17時間経過していますので、そこでお昼ご飯を食べて、そして夕食を19時に食べるといった流れです。オートファジーが上がってくるのに16時間と言われていますが、無理して16時間を空ける必要は無いのかなとも個人的には考えています。朝8時に朝ごはん食べて、お昼は水分くらいにしておいて、夜は20時くらいに食べると言った感じだと簡単で始めやすいかなと思っています。

◆院長の実践方法ご紹介

働かれている方の中でこんな典型的な規則正しい生活を送れている方の方が少ないと思いますので、まずは土日から開始してみると良いかもしれません。私自身、土日は逆に普通に3食いただいており、むしろ平日のお昼に仕事を詰め込んで昼をスキップして朝と夜の2食にする場合や、あるいは前日の夜に遅くまで食べた日は翌日の朝昼を抜いて夕食を早めに取るようにしています。食事のお誘いを受けた時でも「すいません、絶食中なので難しいです」とはなかなかお断わりできませんし、皆で食事を囲むことも人生の楽しみの一つだと思います。この辺りはバランスで「無理なく程よく」というレベルから始めてもらうのが良いと思います。

知り合いの先生が実際にケトン体の採血データなどを取って臨床経過との相関関係なども調べられておられまして、広い意味でのアンチエイジングにおいて一定の効果があるように私自身も思ってはいます。一方で日本糖尿病学会の見解としては長期間、糖質制限をしたときの体への影響に対するエビデンスが確立されていないというところで、特に糖尿病で投薬されている患者さんについてはむしろ有害な結果をもたらす可能性もありますのでその辺り本当に注意しておかなければなりません。

◆思い立ったらまず医師に相談

様々な報告のもと効果が期待できると考えて糖質制限や断食などのアプローチを交えながら日常の診察をする先生方もいる一方で、それらの意見に懐疑的な先生方がいるのも事実です。お一人お一人の身体の状況を診ながら判断し、それぞれのライフスタイルに合った方法を一緒に見つけていくというのが最終的な答えになるのではと個人的には考えます。アンチエイジングを実践するためにはご自身の中で働いているオートファジーをより活発にしておくことは妥当性があると私自身は捉えています。疾患の予防、特に認知機能や生活習慣病に対しては効果が高いのではないかと考えておりますので頭のどこかで今日のお話を留めていただき、必要であればご相談にいらして皆さんの健康ライフに繋げていただけるとありがたいです。

◆カラダに良いとされる食材『卵』

今回のコラムでは「オートファジー実践編」をご紹介させて頂きましたが、私自身が始めたきっかけはプチ断食期間にお腹がどうしても空いてくるもので、何か食べたくなるということがありました。その時に利用してほしいのが卵です。そもそも卵自体はタンパク質を含めた栄養が豊富ですので普段の食事でも積極的に摂取してもらいたいと思いますが、間で食べたくなったときにはゆで卵にしてサラダと合わせて食べてもらえると上手くこのアプローチを続けていけるのではないと思います。卵を活用して、ぜひ「無理なく程よく」から始めてもらえたらと思います。

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