京都御池メディカルクリニック[予防医療、検査、がん治療]

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腸内細菌叢の役割





クリニックを開始して約1年が経過しましたが、様々な患者様から多くのことを学ばせていただき、今も学ばせていただいております。そのような中、ラジオでも健康維持や未病に対して「食事と運動」が大切とよくお伝えしていますが、やはりキーになってくるのは「腸内細菌叢」いわゆる腸内環境・腸内フローラというものだろうと改めて考えています。そこで、第17回では改めてこの腸内細菌叢についてお話をして、病気や内服薬を遠ざけて皆さんに健康長寿を目指して欲しいと考えています。

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本内容はKBSラジオ「さらピン!キョウト」内コーナー「Dr.村西の健康ライフミーティング」内にて 本院院長・村西寛実がお話しした内容をコラムとして掲載しております。

「さらピン!キョウト」番組サイト

https://www.kbs-kyoto.co.jp/radio/sara/

コラム内容のラジオ録音

◆腸の中はたくさんの細菌(腸内フローラ)がいます!

我々の腸には1000種類以上、100兆個から1000兆個もの腸内細菌が棲みついており、重さで1kg~2kgと報告されています。想像よりも私たちのカラダの多くを占めているということになります。この腸内細菌が集団になって腸のなかには存在しており、その集団のことを腸内細菌叢や腸内フローラと呼んでいます。

◆腸内細菌と病気の関連性

腸内細菌と疾患や病気との関連性はと言うと、実に多彩な疾患、例えば炎症性腸疾患と言われる腸の病気から、うつ病や自閉症などのメンタルの病気、アレルギーや関節リウマチなどの自己免疫性疾患、糖尿病などの代謝性疾患、動脈硬化まで様々な関連性がすでに報告をされていて、またそれが口腔内の環境、特に歯周病菌とも相互的に関係しているということも様々分かってきています。

ですから、当院にいらっしゃる患者様へは、病気にアプローチされる際に①腸内環境の整備と、②口腔内環境の整備のお話は必ずさせていただいています。腸内環境についてはご自身の状態を知るため、遺伝子解析による便検査をまずはお勧めをしていますし、当院に歯科はありませんが、歯周病の定期的なチェックも必ずお勧めをして、歯科を受診いただいています。

◆腸内細菌の働き 

腸内細菌の働きはまずはなんといっても消化吸収です。健康に良いと言われる食材を取っていたり、サプリメントを取っていたり、あるいは疾患に対して内服薬を内服されていたりしても、その全ての吸収の土台になります。

世界的にみても日本人が持っている腸内細菌叢は独特と言われています。食物繊維をエサとして発酵反応を促進する腸内細菌が多く、それによって体に役立つ様々な代謝物を生み出していてそれが様々な効果を発揮しているのだと考えられています。これは日本人の祖先が大昔から、キノコや海藻、根菜類などの多種多様な食材から食物繊維を摂取してきたことに由来すると考えられていて、特に海藻を分解することができる腸内細菌類は日本人特有ものとして知られています。そう考えると結構壮大な話で、先祖から続いてきた腸内細菌叢が我々のカラダを作り、そして病気すらも作っている可能性が高いということにもなります。食事の欧米化の問題は常に言われていますが、確かにそうであろうと自分自身は強く考えていましてうちの家族はハンバーガーなどのファーストフードは全くと言っていいほど食べませんし、そのような生活を継続していると食べたいとも思わなくなるので不思議です。最近は腸内細菌叢がそういう指令を出してさえいるのではないかと考えるくらいです。

◆腸内環境を整える為のアプローチ

腸内細菌叢の役割と病気との関係性など色々なことが分かってきていますが、腸内細菌を整える作業は時間もある程度かかりますし、何より生活習慣を変えていく必要があるので難しいところもあります。

先日もアトピー性皮膚炎のお子様のご相談にいらっしゃいましたが、西洋医学でのステロイドの良さも使いながら、一方では土壌であるカラダ自体も食事や運動はもちろん腸内細菌叢から変えていくということで進めています。スパっと切れ味の良い治療法ではなく、簡単にいうと体質改善によるアプローチです。地味な作業の継続で、表面上も現れにくく結果を出すのに時間もかかりますが、腸内細菌叢を整える方向にカラダを動かせばどんな薬を使用するよりも、先祖から引き継いできた自分自身のカラダの良さを引き出すことができるのではないかなと考えています。

◆カラダに良いとされる食材『きくらげ』

先日も自宅の食卓で「きくらげ」が出ていましたので今日はきくらげを推してみました。きくらげはキノコの一種なのですが、今日のお話で言いますと腸内細菌叢を育てる食物繊維を非常に豊富に含んでいて、鉄分やカルシウム、最近よく言われる免疫の話で言いますとビタミンDも食品のなかでもトップクラスで含有していますので料理に使わない手はないなと思います。そして、せっかく買っていただくなら無農薬栽培のものが腸内細菌叢にとっても良いですので、ぜひ探して頂ければと思います。味はあまりありませんが食感の楽しい食材ですし、カラダを作ってくれること間違いなしです。

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