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日焼け止めと日光浴

梅雨が明けて、いよいよ夏が参りましたが一層日差しが強くなっています。日焼け対策をされている方は多いと思いますが、なぜ日焼け対策は必要なのでしょうか?使っておられる日焼け止めは安全でしょうか?など普段から何となくやっている日焼け対策について科学的なデータなども交えながら日光浴の効果も含めお話ができればと思います。

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本内容はKBSラジオ「さらピン!キョウト」内コーナー「Dr.村西の健康ライフミーティング」内にて本院院長・村西寛実がお話しした内容をコラムとして掲載しております。

「さらピン!キョウト」番組サイト

https://www.kbs-kyoto.co.jp/radio/sara/

コラム内容のラジオ録音

◆紫外線の種類

夏本番というカタチで、日差しがますます強くなってきていますが、当院にいらして頂いている方と日焼け止めのお話をさせて頂く機会がありましたので今日は普段何気なくやっている「日焼け対策」と健康的な「日光浴」の効果について簡単にまとめてみたいと思います。

多くの方は日焼け止めと日傘、帽子やサングラス、UVカットの長そでなどで対応されているかと思います。紫外線の種類について簡単にお話しをしておくとUVAとUVBという波長の異なる紫外線が地上には届いています。UVAは皮膚の奥深く(真皮といいますが)まで到達しシミやシワ、たるみの原因になると言われています。一方でUVBは皮膚の表面(表皮と言いますが)で炎症を引き起こして日焼けや肌を黒く変化させたり、皮膚がんや白内障などの疾病や皮膚の免疫機能低下の一因となります。日焼け止めの製品でPA(protection grade of UVA)とSPF(skin protection factor)という記載をよく見るかと思いますが、PAというのはこのUVAを防ぐ指数でSPFはこのUVBを防ぐ指数ということになっています。

◆紫外線と疾患との関連性

紫外線防御と疾患の関連性について考えてみますとまずはやはり皮膚癌が挙げられます。これは白色人種では紫外線暴露がリスクとなることがデータとして示されていますが、我々日本人での発生率はそこまで高くはなくデータとしても乏しいものではありますので過剰に恐れる必要はありませんが、とはいえ一方では長期間の紫外線暴露はやはりリスクではありますのでご注意頂いた方が良いかと思います、特に元来より色白の方は要注意です。また、紫外線による白内障や黄斑変性症といった眼の疾患への影響もありますので特に夏場は帽子や日傘、サングラスなど使用してもらって予防してもらうのが良いかと思います(サングラス、帽子、日傘併用で目に入ってくる紫外線は1/10程度になると言われていますので合わせ技でやってもらうとより効果的と思います)。

◆紫外線対策のための効果的な日焼け止め

様々な製品があり、それぞれの会社がそれぞれの特徴を押し出しているので一概にどれが良いということは非常に難しいのですが、当院に来られている方から「飲む日焼け止め」について質問を受けたことがありまして、その辺りの根拠論文などを調べてみました。様々な飲む日焼け止め製品がありますので一概にすべてを言うことはできませんがいくつか成分表など調べてみますと主には①日焼けに抵抗する天然成分と②抗酸化物質を組み合わせたものが多いような印象です。いずれにしてもアメリカ皮膚科学会やFDAのリコメンドでは「現在、飲む日焼け止め単独では有害な紫外線から肌を適切に守るという科学的根拠は存在しません」とはっきり言っています。飲む日焼け止めの根拠となる論文から推測しても飲む日焼け止めを1か月くらい内服するとSPF 2~3程度と考えられますので、飲む日焼け止め単体で紫外線と戦うのは非常に厳しい戦いになるかと思います。そういった感覚でいて頂いてやはり塗る日焼け止めをメインに据えて頂いた方が良いのは今までと変わらないであろうと個人的にはとらえています。含有されている抗酸化物質が効果を少なからず出す可能性は否定できませんが、日焼け止めとして使用するのであれば+α程度の印象でいて頂くとちょうど良いのかもしれません。

◆「日光浴」の効果

一方で太陽光というのはポジティブな側面もあります。最近よく言われていますが、日焼け止めを頻繁に継続的に使用している方はビタミンD不足であることが多くカルシウムの吸収にも影響が出て骨が脆くなったり、またビタミンDは免疫とも関連性がありますので不足することで免疫力の低下に繋がります。メンタル面でもポジティブな効果がありまして「セロトニン」という「幸せホルモン」と呼ばれているものになりますが、その分泌も促して睡眠リズムや体内時計への良い影響もありますので適度な日光浴は必要であろうかと思います。患者様にお勧めしているので朝の日光浴は比較的日差しも強くないですし、効果的にセロトニン分泌や体内時計の調整を行えるので夏場は20-30分の朝の散歩は健康的な生活を送るうえで良い習慣となるかなと思っています。なかなか時間がない方は日の当たる窓際で朝日を感じながら朝食を食べていただくだけでも違ってくるかと思いますので、是非一度お試し頂ければと思います。

◆カラダに良いとされる食材『甘酒』

暑い日が続いていますので、夏バテ予防にということで出してみました。実は僕自身も飲んでいまして、ここ最近90歳を超える祖母も食欲が無く体調がイマイチよくないということで飲んでもらっています。調べてみると甘酒自体は日本書紀にもそういった記載があるようでして、暑い夏を生きて来た先人の方々が古来から培った生活の知恵というか、やはり感覚的に暑い夏に起こりやすい消化不良や倦怠感といった体調不良(いわゆる夏バテ)に対して甘酒が効果的であるというのを分かっていたのかもしれないなぁと感慨深く思ったりもします。エビデンスがあるかと言われればありませんが、腸内環境整える食物繊維とオリゴ糖が入っていて、含有されているビタミンB群は代謝を上げます、エルゴチオネインと呼ばれる抗酸化物質も入っていますので効果が期待できるかと思います。カロリーが高めではありますので糖尿病の方やダイエット中の方などは注意が必要ですが、米文化である日本ならではのものですし夏バテ気味の方にはぜひ一度お試し頂ければと思います。

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