遅延型フードアレルギーと食品添加物
6月の抗加齢医学会総会において、当院での遅延型フードアレルギー検査75症例の検討について発表する予定となっています。そこで今回は、その結果から自分自身が考えていることなどをお話できればと考えています。
●遅延型フードアレルギーと食品添加物の関連性
食品アレルギーには即時型と遅延型があり、遅延型フードアレルギーは食後数時間から数日後に症状が現れるため、原因が特定しにくいことが特徴です。そこで今回は、遅延型フードアレルギーと食品添加物の関係性についてスポットを当ててみようと思います。特に当院での解析結果から意外に強い反応が多かった、トウモロコシやエンドウ豆に対するアレルギーを持つ方が避けるべき食品添加物についてお話をしたいと思います。
●食品添加物が与える影響
食品添加物は食品の保存性や風味を向上させるために使用されますが、一部の添加物は腸内環境を乱し、アレルギー反応を助長している可能性があります。特に、腸の透過性を高める添加物(リーキーガット)は、アレルゲンが体内に侵入しやすくなる要因となるため注意を払って置く必要があります。
·トウモロコシアレルギーの方が避けるべき食品添加物
トウモロコシ由来の添加物は、増粘剤や甘味料として非常に多くの食品に使用されています。
添加物名 | 主な用途 | 含まれる食品 |
コーンスターチ(Corn Starch) | 増粘剤、安定剤 | ソース、スープ、ドレッシング、加工食品 |
コーンシロップ(Corn Syrup) | 甘味料 | 清涼飲料水、アイスクリーム、シリアル、加工食品 |
果糖ブドウ糖液糖(High-Fructose Corn Syrup, HFCS) | 甘味料 | 炭酸飲料、菓子類、調味料(ケチャップ、ドレッシング) |
デキストリン(Dextrin) | 増粘剤、つなぎ | スナック菓子、インスタント食品、プロテインバー |
マルトデキストリン(Maltodextrin) | 甘味料、増粘剤 | プロテイン、スポーツドリンク、栄養補助食品 |
·エンドウ豆アレルギーの方が避けるべき食品添加物
エンドウ豆由来の成分も、多くの食品添加物として利用されています。以下の成分が含まれる食品には注意しておきましょう。
添加物名 | 主な用途 | 含まれる食品 |
エンドウタンパク(Pea Protein) | たんぱく補強 | プラントベース食品、プロテインバー |
エンドウデンプン(Pea Starch) | 増粘剤 | グルテンフリー製品、スープ |
植物性たんぱく加水分解物(Hydrolyzed Vegetable Protein) | 旨味成分 | 加工食品、インスタント食品 |
エンドウタンパクは、近年プラントベース食品の普及に伴い、多くの食品に使用されています。成分表示に「Pea Protein」「Pea Starch」などの記載がある場合には注意が必要です。
●腸内環境を悪化させる可能性がある食品添加物
遅延型フードアレルギーは腸の状態と密接に関係しているため、以下の添加物も可能な範囲内において避けておいた方が無難と考えられます。
添加物名 | 主な用途 | 含まれる食品 |
アスパルテーム(Aspartame) | 人工甘味料 | ダイエット飲料、低カロリー食品 |
スクラロース(Sucralose) | 人工甘味料 | 砂糖不使用食品、プロテイン |
アセスルファムK(Acesulfame K) | 人工甘味料 | ゼロカロリー飲料、ガム、低糖質菓子 |
安息香酸ナトリウム(Sodium Benzoate) | 防腐剤 | 清涼飲料水、漬物 |
リン酸塩(Phosphates) | 保存料、pH調整 | 加工肉、チーズ、冷凍食品 |
人工甘味料については、このように様々な食品に利用されていることが多いため知らずに摂取している可能性もあります。これらの添加物は腸内細菌のバランスを乱し、アレルギー反応を悪化させる可能性があるため注意が必要です。
●当院で実施している検査
当院では、遅延型フードアレルギー検査だけではなく、包括的な健康管理のため各種検査を提案させて頂いています。
- 遅延型フードアレルギー検査
→血液検査を用いて特定の食品に対するIgG抗体の反応を測定し、アレルギーの原因となる食材を特定。また、同時に当検査結果から腸内環境の状態を間接的に評価します。
- 栄養解析
→ビタミン·ミネラル等をチェックすることで栄養不足を特定し、その補充を含めたアプローチの検討を行う。
- 腸内環境検査
→腸内細菌のバランス等を分析し、腸内フローラの改善につながるアプローチを提案しています。
これらの検査結果をもとに、患者様一人一人に最適な食事指導やサプリメント提案を行い、根本的な体質改善を提案しています。
保険診療において検査や投薬を受けても一向に改善しない体調や、慢性的に悩んでいる体調不良があれば、ぜひ、お気軽にご相談ください。