京都御池メディカルクリニック[予防医療、検査、がん治療]

TOP > コラム > 老化が急激に進行する年齢があるってホント⁈        ~アンチエイジング考~

老化が急激に進行する年齢があるってホント⁈        ~アンチエイジング考~

昨年ですが、44歳と60歳において急激に老化は進行し疾病リスクも増大するといった内容の報告がなされ各種メディアでも取り上げられました(https://www.cnn.co.jp/fringe/35222981.html)。
上記の記事を引用すると「108人を対象に、加齢による分子(RNA、たんぱく質、マイクロバイオーム)の変化を数年間にわたって観察した結果、老化は徐々に進行しているわけではないことが判明。44歳と60歳の2回、急激に老化が進む時期があることが分かった。」とされています。

自分自身が45歳であることからちょうどその急激に老化が進行する時期に位置しており、興味深くその報告を見ていました。
日常生活を普通に過ごしていて、皆さんは老化が進行しているなと日々感じることはありますでしょうか?
人間は自分の状態に合わせて活動性を調整するため自分自身の老化が進行していることになかなか気づきにくいというところがあります。また、長期間にわたりこびり付いてしまった生活習慣を一朝一夕で是正するのは難しく、飲酒や喫煙はもちろんのこと、運動習慣や外食、間食習慣など年齢が上がっていっても変えることなく漫然と同じ生活を続けている方も多いのではないでしょうか。
命や人生に対する価値観は様々ありますので、太く短く好きなことをして生き切るという考え方も良いのかもしれませんが、もし何か目的がありいわゆる健康長寿を延伸したいと考えているようならば、一度、自分自身の身体がどうなっているのかということを客観的なデータを通して把握しておくことには一定の意義があります。

皆さんが毎年受けておられる健康診断や人間ドックというのは数多くのデータが出てきます。しかし、現時点で問題があるか否かの判定にはなりますが老化の状況や老化に繋がるカラダの詳細な評価、今後の疾病リスクを予測するものにはなり得ません。
異なった視点からカラダを評価してみることで健康長寿延伸への道筋を照らすことができるのかもしれません。
当院ではそういった試みを実践しており、ご希望される方を対象に一般の医療機関では実施していない検査を使用してカラダを評価し、改めて見直してみることを推奨しています。
老化促進因子としての酸化、糖化、炎症といったファクターを切り取って調べてみることもしますし、エピジェネティッククロックと呼ばれる生物学的な年齢を調べる検査を通して現在の自分自身の位置づけを知ることができます。スタート地点が分からない限り、自分がどの方向へどう進めばよいかも分からないというところです。

自分自身の身体を調べた生物学的年齢検査のごく一部ですが、以下に示します。
当院でアンチエイジング医療を志すまでは医者の不養生でハードな勤務のなか揚げ物の多い茶色い弁当を日々短時間で掻き込み、ストレスから飲酒を毎日しており運動する時間の捻出は難しいという状態でした。おそらくその頃にこの検査を実施していたならば生物学的年齢は高く、老化速度も上がっていたものと思います。
アンチエイジング医療はサプリメントや点滴のみでは無く食事、運動習慣などの生活習慣を是正することが根本的なベースになります。当院で仕事を開始してからアンチエイジングアプローチを指導する立場として自分自身としても食事や運動には気を配るようになりましたが、日々の飲酒だけはなかなかやめることが難しくこの検査を受けた時点では毎日のアルコール摂取は続いている状況でした。

→カレンダー上での年齢は44.43歳、生物学的には44.59歳と概ね年齢相応の状態で生物老化は進んでいると言える。

→各臓器別では筋骨格系についてはランやトレーニングをしていることもあり、筋肉量が維持されていることからホルモン系も若く維持できています。一方でLIVER(肝臓)、BRAIN(脳)の年齢が高くなっています。やはり長期間に及ぶほぼ毎日の飲酒(ストレスのためか毎日毎日飲む量もなかなかなの量でした・・・)による影響と考えられ、予想通りといった感じの結果になっていました。

→自分自身はカラダの状態に応じて定期的な点滴とサプリメントを内服し、運動習慣を継続していましたので現状としては0.81と老化に抑制が掛かっているという結果でした。
自分が実践している食事・運動を含めたアンチエイジングアプローチとして現時点では目標を達成できていると判断できます。

自分自身にとって家族は大切な存在で、できれば元気な状態で長く多くの時間を一緒に過ごすことができればと常に願っているので健康寿命延伸のため上記結果を受けて、毎日意識することなくルーティンのようにあれだけたくさん飲んでいたアルコールはほぼ呑まなくなりました。
アンチエイジングは華々しくSNS等で宣伝されているサプリメントや点滴をしていれば達成できるといった単純で楽なものでは全くありません。その反面、運動に投資する時間を増やし、嗜好品も控えていくといった地道な日々の暮らしの積み重ねの先にあるものはなんだろうと最近では思っています。

44歳と60歳の方に限らず健康寿命延伸を目指す皆さん、客観的なデータを通して自分自身のスタート地点を知り、そしてこれから取り組んでいくべき方向性を一緒に考えてみませんか。

TOP