京都御池メディカルクリニック[予防医療、検査、がん治療]

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元気が無い、やる気が出ない、眠れないのは鬱のせいですか?

 今回のテーマについては、何回かに分けて話をしていきたいと思っています。

 このテーマのように倦怠感が酷く、元気が出なくてやる気が出ないといったことで悩んでおられる方はいると思います。
あるいは、何となく日々を過ごしているものの何か最適な状態でない、得体の知れないモヤモヤを感じている方も多くいらっしゃることかと思います。
 多くの場合、内科を受診され各種検査をしても問題なく、その結果、心の問題ではなかろうかということで、心療内科へ紹介となって医薬品による投薬加療が始まることが多いと思われます。もちろんその検査や治療介入自体は悪いものでは無いのですが、その治療介入だけで良いのだろうか?といった疑問は随分以前から自分自身は持っています。

 それは誰かが発信しているような情報から姑息的に得たものでは無く、多くの患者さんに多くの処方箋を切って投薬を行い経過を診てきた、総合内科専門医としての現場での経験から実感として持っています。
 今回のテーマを話す前の前提知識として、自分自身が持っているあらゆる治療介入に対する考え方をお伝えしたいと思います。
 多くの病態に言えることと思いますが、自分自身が頭の中で考えていることは大まかに以下のような図に示せます。

 医薬品を用いたときのカラダに対する効果の鋭さというのは、他の治療介入は持ちえないものです。ですから、適切な時期
(図のフェーズ①)にこういった介入をすることはカラダがマイナスの状態で、日常生活に支障が出ている状況から一気に
±ゼロ、あるいはプラスの状態へと復帰させることが可能になります。
 ただ、一方で医薬品のみによってそのプラス状態を維持していけるのかというとそうでないことが多いという実感です。

 多くの方は②の段階で治った気になっていますが、本質的には治っていないということです。実際には本質的な部分にアプローチしない限り、医薬品の効果が低下してくることで新たな医薬品へのスイッチや医薬品の増量、追加が必要となることもよくあります。
 そこで自分自身が当クリニックで実践介入しているポイントとしては2つあります。
 まず一つ目は、医薬品を用いてもフェーズ①から抜け出すことができない場合です。
 二つ目は、フェーズ②、③において良好な状態を維持していく、その2点が介入可能なところと考えています。
 これらを実現するためには個々のカラダの状態を正確に把握することが必要不可欠です。教科書に載っていたり、web上の情報による杓子定規なアプローチではなかなか改善や維持に持っていくことは難しいでしょう。
 それは栄養学的な側面(当院では栄養解析採血やアンチエイジングホルモン検査、オリゴスキャン等を用いて評価をしています)から、腸内細菌の状態や普段の食事内容、運動習慣等、家族や職場環境、あらゆる側面を洗い出してみて、初めて最適なアプローチが見えて来るものと考え日々の診療に当たっています。
 医薬品による治療介入に慣れてしまっていると、すぐに治ることをどうしても期待してしまいます。が、人間のカラダが治癒しそれを維持していくという作業には本来、相当な時間を要するものです。
 それは、今の人間が忘れがちである、自然をじっくりと観察するということができれば自明だと自分自身は常々思っています。例えば、この春にも咲いてくれるであろうサクラが散ってしまったあと、再び見たいとします。でもそれは、季節が移ろい、日光や気温や水や土や虫や様々な条件が適切に交わるであろう1年後にしか、出会えないわけです。
 人間という存在をスマートフォンやPCのような機械的なものと捉えているならばすぐにでも変化してくれるでしょう。
しかしながら、我々人間が自然の一部であるということを忘れてはいけないのだろう、それが医療にも繋がっているものであろうと個人的には考えています。

 最後は何か個人的な意見を述べてしまいましたが、次回は今回の主たるテーマである倦怠感ややる気の出ない感じ、睡眠が取れないといった現象を自分自身がどう捉えているか、ということを栄養学的な側面から説明してみたいと思います。

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