自由診療の意義とは?①
今回は、当院の自由診療という形態の医療について、その意義や経験してきたことをお話したいと思います。
自由診療というとインチキ医療などと揶揄されることや、癌治療に対する否定的な意見も多く聞かれます。エビデンスの観点からはそういう意見がもっともである反面、私自身の経験からは自由診療のすべてが悪かというとそれは違うと考えています。
内科医として保険診療に長く携わってきた中で、従来のアプローチではどうにもならないことや、あるいは医療者側が考えていることと患者さんが感じていることのギャップが多く存在すると考えています。既定のアプローチでは乗り越えることが困難である場合、そのギャップを埋めることに自由診療としての意義があると考えます。無論、そのアプローチについて何らの科学的な背景がないようであれば、それはまさにインチキ医療ということになりえますが、限られた文献や報告、データの中であったとしても、そのアプローチの可能性と限界点等を患者さんへ伝えることにより、自由診療を選択された場合には、ギャップを埋めていく作業にも責任を持って伴走していくのが自由診療の意義と考えます。
カラダの不調があり様々な検査を実施したのにもかかわらず異常は指摘されず、処方された医薬品を内服しても体調は一向に変わらない、、、得てして精神的な問題なのではないかという結論になったり、しばらく様子を見ましょうとなり患者さんとしては納得がいかないままその後も過ごしていく。あるいはご家族やご自身で調べ自己判断のうえで、アプローチされることは多く存在しているように感じています。
医師とて万能では無く、またカラダの仕組みは非常に複雑でもあるため、西洋医学的な見地のみや臓器別で観察していても解決策が見えてこないことも実感してきました。
当院へお越しいただく方々の中で感じるのは、保険診療における診療方針について十分な理解が得られていない、あるいは十分な説明を受けておらず、不安や懸念が先行しweb上の様々な情報から自由診療の治療に辿り着いた患者さんです。当院ではそういった方々に、まず現状についての説明を行います。そして何か特定の治療に誘導するのではなく、データやエビデンスの有無を含め客観的に選択肢として上がってくる治療をお伝えし、ご自身が十分に納得したうえで選択できることを目指しています。
保険診療と比較してデータ・エビデンスの乏しい治療は選択されないことが多いと言えます。しかし、患者さんの状態や価値観等に応じ、当院の治療が選択され、それが功を奏したことも何度となく経験しています。ですから、私としては保険診療・自由診療に関わらず、必ず多くの医療者の意見を聞いたうえで決定されるようにお伝えしています。
自由診療というのは医療者側が自由に提供できる医療、という視点だけでなく、保険診療を含めた考え得る治療アプローチについて利点も欠点も、データ・エビデンスの有無も、それぞれの選択肢を取った際に予想されることも含めて十分な話を聞いたうえで、患者さんが”自分自身の人生を生きていくため自由に自己決定できる医療”という視点が重要ではないかと考え、多くの患者さんが望まれていると感じています。