京都御池メディカルクリニック[予防医療、検査、がん治療]

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人間ドックや健康診断を受ける意味や考え方

先日、有名人の方が年1回の健康診断を欠かさず受けていたものの、ステージの進行した乳癌が見つかり治療を開始されているといった記事を見ました。このお話しを受けて、「人間ドックや健康診断なんて受けていても意味ないのではないか」「やはり早く発見するため年1回であったのを半年に1回、いや3か月に1回細かく受けていこう」など色んな意見があるのだろうと思います。どれも間違いではないのかもしれませんが、今日は私が考えているアンチエイジング医学についてをお話したいと思います。

まず人間ドックや健康診断について、当たり前の話しですが、検査結果はその検査を受けた日のカラダの状態を示しています。つまりその日は問題なかった、癌は無かった、生活習慣病は無かったということですが、1か月後、3か月後は分からないのが正確な答えです。クルマで例えるならば、車検を受けた直後のクルマは問題ないと言えますが、走っているうちに1か月後にパンクを起こすこともあるかもしれませんし、エンジンが止まることだってあるでしょう。あくまで検診や人間ドックというのはそういったものであり、年1回の人間ドックで問題なかったことで太鼓判を貰い1年間の保証を得たわけではないという認識は改めて必要なのだと思います。

では、元気なカラダを維持していくためにはどうすれば良いのか?定期的な検査だけ受けておけばそれでOKというわけにはいかないのが現実です。人間のカラダは日々細胞を入れ替えながら変化することは自明で、積み重ねた生活によって良い方向にも悪い方向にも進んでいきます。

健康診断や人間ドックで問題ない結果であったとしても、老化の要因である
①酸化(カラダのサビ)
②糖化(カラダの焦げ)
③炎症
が潜在している状態が持続する生活習慣であれば、カラダのベクトルは病気へ向かっていると考えられます。こういった状態は、通常の健康診断では測れないのでなかなか把握しにくいのが現状です。当院では、
①酸化度合いの定期的なチェックを推奨しています。(https://kyoto.krg.or.jp/news/2022/09/02/%e3%81%82%e3%81%aa%e3%81%9f%e3%81%ae%e9%85%b8%e5%8c%96%e3%82%b9%e3%83%88%e3%83%ac%e3%82%b9%e5%ba%a6%e3%81%af%ef%bc%9f/
②糖化はフリースタイルリブレという機械で普段の食生活が自身の血糖値をどう変動させているか確認することが可能です。
また、③炎症とのも関わるもので、実際にすでに自身のカラダがどれだけ老化しているのか(老化が進行しているということは各種疾患リスクが高くなることを示唆します)を調べるエピジェネティッククロック検査(https://kyoto.krg.or.jp/screening/epigenetic/
などを用いて現状を把握した上で通常のアプローチとは異なるカタチで健康維持の提案をしています。

2022年8月
2024年4月

こちらは私の酸化ストレス(度合)検査の推移です。運動不足や晩酌など続けていた時期の2022年8月は散々な結果ですが、それから晩酌は一切やめて機会飲酒(ほとんど飲まなくなりました)とし、定期的な運動も継続して生活習慣を修正しデータを追ってみています。生活習慣改善に合わせて必要なサプリメント、点滴などは併用したところ、2024年4月のデータでは非常に良好な数値で推移しています。webの記事や書籍などを見てやみくもにアンチエイジングアプローチするよりも幾つかのこういったパラメータを確認して検証しながら進めていくことが重要と考えています。

最後に….
私は今まで保険診療での仕事を長く実施し多くの患者さんを拝見させていただきました。そして多くの医薬品を処方し、多くの検査もやってきました(その中には今考えると不要な医薬品や検査もあったと反省しています)。今、アンチエイジング専門医としてこれまでとは違った方向から健康や日本の医学を見ていると、病気になるのを待ちながら、それを発見するために検査を続け、見つけた際には医薬品によってコントロールしていく ‘待ち’の姿勢に思えて仕方がありません。だからこそ、前のめりに健康を取りに行くにはどうすると良いのかを常に考えています。
どうすればその先にあるリスクを回避できるのか?そのためにはまず現在のカラダの位置づけを捉えて(酸化や糖化、炎症、エピジェネティッククロック等)、生活習慣改善や状態に応じた点滴やサプリメントの補助的アプローチによってカラダのベクトルを修正していくということが重要で、それこそがアンチエイジング医学の根本的な考え方であり目指している方向性かと個人的には思っています。

引き続き、アンチエイジング専門医として様々なアプローチを考え提案しながら、できるだけ多くの方々に健康維持を目指していただきたいと考えています。

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