京都御池メディカルクリニック[予防医療、検査、がん治療]

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幹細胞治療による動脈硬化リスク軽減の可能性

当院は脳梗塞、心筋梗塞の発症リスクを調べるLox index検査を実施しています。どこかでお受けになった方もおられるかもしれません。

この検査でリスクが高いと出た場合は、まずは保険診療で治療対象となる動脈硬化性疾患(冠動脈に狭窄が無いかなど)を検査しておくことは重要です。結果、特に有意な異常所見が無かった場合は、栄養バランスを考えた食事の摂取、運動、あるいは薬を飲んで血圧、コレステロールを下げましょうという結論に落ち着くことが多いです。

当院ではそういった方を対象として幹細胞培養上清液を用いて治療を行い、Lox index検査の変化を確認してきました。

2つ症例をご紹介します。

どちらのケースも高血圧ですがそれ以外の症状は全くなく元気に過ごされていました。しかし治療介入前の結果はリスクが高くでており、気づかぬうちに徐々に増大していたと思われます。そこで、生活習慣や投薬内容に大きな変化などは無い状況で、幹細胞培養上清液を1か月ごとに計6回の投与を行いました。すると、sLOX-1という血管内炎症の指標が2症例とも低下し、リスクを下げることができました。この結果からも幹細胞培養上清による動脈硬化のリスク軽減については効果が得られているのではないかと考えています。

Case-1:80歳台 女性 無症状 既往歴:高血圧で内服加療中

●治療介入前

●治療介入6か月後

Case-2:50歳台 女性 無症状 既往歴:高血圧、脂質異常症にて内服加療

●治療介入前

●治療介入6か月後

現在、幹細胞治療や幹細胞培養上清液を用いたアプローチは十分なデータが無いためその適応は慎重に決定する必要があることは自明です。

また、幹細胞培養上清液を用いた治療は多くの自由診療クリニックで実施されていますが、その含有成分の解析や治療結果まで検証し実施していることは多くないように見えます。また幹細胞培養上清液をクリニックに対して販売している業者も多く存在していますが、それぞれが臨床においてどこまで責任を持って製造しているのかというのはこちらからは分かりづらいように感じています。

そういった点で安心して臨床利用ができるよう、我々は同じ医療グループのりんくうメディカルクリニック内にあるCPCという施設で、製造やその後の解析なども行い品質の向上に努めています。

循環器専門医として、動脈硬化系疾患を診てきた者として、罹患してから治すのも重要ではありますが、治療後の再発予防や、そもそもそういった疾患を発症するリスクを軽減していくことができればと考え、患者様と相談のうえでこういったアプローチを行っています。

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