遅延型アレルギーと食べ物
今回は普段何気なく摂取している食べ物に対するアレルギーについて、お話をしたいと思います。
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本内容はKBSラジオ「さらピン!キョウト」内コーナー「Dr.村西の健康ライフミーティング」内にて 本院院長・村西寛実がお話しした内容をコラムとして掲載しております。
「さらピン!キョウト」番組サイトhttps://www.kbs-kyoto.co.jp/radio/sara/
コラム内容のラジオ録音
▶ アレルギーの種類「即時型」「遅延型」
現代人は何らかの食べ物に対するアレルギーをお持ち方が多いかと思います。おそらくそのアレルギーとイメージされているのは、卵を食べるとノドが痒くなる、甲殻類を食べると湿疹が出るといった通常の医療機関でもよく検査される「即時型」(食べてすぐに出るタイプのアレルギー)というものです。一方「遅延型」という、食べて数時間から数日後に症状として出て来るタイプの食べ物に対するアレルギーもあります。当院でも実施している「遅延型フードアレルギー」という検査についてお話します。
▶「遅延型フードアレルギー検査」とは
これは当院で採血を行って、アメリカの検査機関に依頼するといったものです。この検査を日常診療で取り扱っている先生方は原因のよく分からない体調不良や、一向に改善しない疾患群に対して、この検査を元に食事制限や腸内環境整備のアプローチをすることがあります。一方で日本アレルギー学会などからはこの検査は有用で無く、むしろ過剰な食事制限を掛けることによって必要な栄養素摂取が妨げられる可能性などを示唆しています。現場でこの検査を使っている者として言えることは、①どういったカラダの悩みに対してこの検査を実施していくか、②この検査結果の解釈とその結果から答えをどう出していくかという2点が大切なのではないかということです。
https://kyoto.krg.or.jp/screening/allergy/(遅延型フードアレルギー検査)
▶アレルギーに対して
まずは保険診療機関にて詳しい検査や投薬で経過を見てみると良いかと思うのですが、それでも一向に良くならないとか、原因すらよく分からないということが往々にしてあります。そういった場合には普段摂取している食べ物が我々のカラダを作っているということを思い出して、この検査を受け、食事内容から体調不良を観察してみるというのは一つの選択肢になろうかと思います。最近よく言われているグルテンフリー食(小麦などを避ける)についても、この検査結果からある程度推測もできます。当院の経験ですが、繰り返す眩暈に対し、保険診療機関で型通りの精査や投薬を受けても一向に改善しない方がおられました。その方はグルテンや小麦の反応が非常に強かったので、毎朝のパン食を一旦すべて和食中心に変えて、その他の該当した項目についてはあまり強い制限はかけずに数か月経過を見ると、繰り返していた眩暈が出なくなった症例がありました。なぜ奏功したのかということに対するロジカルな説明が難しくはあるのですが(簡単に言うと腸内細菌叢への影響や自律神経の調整と考えています)、そういう症例を診療のなかで経験していくと食べているものがカラダを作っていて、同時に食べているもので体調不良を引き込んでいるというのを感じています。
▶検査結果の解釈
該当する全ての項目を除去するというのは非現実的で、かつ学会が言っているように必要な栄養素を摂る機会の損失に繋がるので、よくよく考える必要があると思っています。この検査の結果を受けて、実はカラダによいと思って食べていたものが足を引っ張っていたということもあり得ます。当院の経験から多いのはやはりグルテンや小麦、卵白や牛乳、砂糖類です。無理なくその方の生活スタイルのなかで変化させていく方法として例えば、間食でお菓子を取る方は辞められるのが一番良いですが、簡単には難しいので洋菓子(小麦や卵白、牛乳使っているものが多い)ではなく和菓子を選択してみるとか、普段食べているものを取捨選択する一つの指標として使っていくというような視点が良いのではなかろうかと思い、患者様の状況や目指したい方向性を一緒に考えて提案をしています。
◆カラダに良いとされる食材『ヨーグルト』
イメージとしては乳酸菌を取って腸内環境をよくしようと思っている方も多いのですが、遅延型フードアレルギー検査でヨーグルトや乳製品に入っている「カゼイン」というたんぱく質に非常に強い反応が出ている方がおられます。ヨーグルトの良さの反面には、カラダが反応し健康とは逆の方向に動いている方もおられるかと捉えています。そういった方はヨーグルトでなく、他の発酵食品や食物繊維でも腸内環境の整備に繋がりますのでその辺りをお勧めします。何か解決しない体調不良などがあったときには今回のお話を思い出していただけたらと思います。