運動習慣で認知症対策ー老化を防ぐ
先日自身の家族や仲の良いご家族を含めて明石港から船で淡路島に渡り、自然の中サイクリングを楽しんできました。今回はスポーツの秋ということで、運動の種類や疾病予防との関係性など、その医学的な報告も踏まえながらご紹介いたします。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本内容はKBSラジオ「さらピン!キョウト」内コーナー「Dr.村西の健康ライフミーティング」内にて 本院院長・村西寛実がお話しした内容をコラムとして掲載しております。
「さらピン!キョウト」番組サイトhttps://www.kbs-kyoto.co.jp/radio/sara/
コラム内容のラジオ録音
◆ 健康維持のための運動
まず「スポーツの秋」と呼ばれている所以、秋になると季節も良くなりカラダを動かしやすい時期になるからと勝手に思っていましたが、調べてみると1964年の10月10日が東京オリンピック開会式の日です。その後10月10日が体育の日として制定されたことがきっかけで、秋にはスポーツを楽しみましょうということのようです。スポーツといっても競技として取り組む場合と、健康維持を目的として取り組む場合ではもちろんそのやり方や疾病との関連性も変わってきます。今回は健康維持のための運動にフォーカスを当ててご説明します。
◆運動強度×運動量 ~METS(メッツ)~
皆さまは普段何かスポーツ・運動はされていますでしょうか?運動にもいろいろありますが、「どんな運動」を「どのくらい」すればいいのかという基準があります。まずは「運動強度」、要はどれくらいカラダに負荷をかける運動なのか、どれくらいキツイ運動なのかというお話です。長さだとメートル、重さだとグラムというのと同じで、運動のキツさを表す【METS(メッツ)】という単位があります。普通に歩いていると3メッツ、自転車に乗っておでかけするのは4メッツ、ラジオ体操第1は4メッツ…言い出すと切りがないのですが、調べると表なども出て来ます。
その強度の運動を1時間行うときの運動量を表す単位【METS・時(メッツ・時)】を使って、1週間のあいだにどれくらい運動したかの評価を行っていきますが、65歳以上の方は1週間に10METS時以上が目標とされています。普通に歩くのは3メッツで、例えば僕は毎日自宅から一つ先の駅まで片道30分=往復1時間歩いているので、3メッツ・時をその過程でやっているという計算です。ご自身の日々の行動をメッツ時に換算して、1週間でどれくらい動いているか一度試しに数えてみてください。
◆有酸素運動と無酸素運動
有酸素運動というとまずイメージできるのはウォーキングで、呼吸の乱れやいきみを伴わない持続した全身運動ということですが、持久力の向上や心臓や肺の機能の向上、免疫強化や睡眠の改善、生活習慣病の予防や改善など様々な効果は言われています。まずは1日30~60分ほどの有酸素運動を週半分くらいで、歩くときのスピードは誰かと一緒に喋りながら歩いていて息が切れない程度のスピードと当院ではお伝えしています。
一方で無酸素運動の代表格は筋トレで、消費カロリーは多くはないですが筋肉量を上げることで代謝も上がります。フレイルと呼ばれる筋力が落ちた状態を回避することにも繋がり一定の意義があると考えていまして、スクワットや重すぎないダンベルを使用するとかペットボトルに水を入れてプッシュアップしてもらうなど患者様にはお伝えしています。無酸素運動についてはどうしても交感神経を有意にして不整脈などの誘因にもなりますので、心臓疾患をお持ちの方は注意しながら軽い負荷での筋トレ(レジスタンストレーニング)なら問題ないですので一度心臓を診てもらっている主治医にもご相談を頂くと良いかもしれません。
◆自分に合った運動を無理なく楽しく
今回の内容を深く掘っていくと小難しい話にもなってきますし、あまりに考えすぎて運動しているとそもそも楽しくないですよね。一つの目安としては無理せずに継続できてケガをしない負荷と頻度で、その運動を終えた後に疲れ過ぎずサッパリした感覚があるという、その感覚が何よりも大切です。その辺りを意識しながら健康の維持を目標に日常生活に運動を溶け込ませると良いかと思います。次回は運動と疾病という観点から、もう少し突っ込んだお話をさせて頂きます。
◆カラダに良いとされる食材『サンマ』
スポーツの秋でもあり、食欲の秋でもありますので今回は秋の食材のサンマです。漁獲量の低下などで近年は価格が高いようですがビタミンB群・D群も豊富、かつご存じのとおりEPAやDHAと言われる血液をサラサラにする成分や脳細胞を活性化する成分も入っています。栄養バランスの良い魚なので秋の食卓にはピッタリです。ぜひ大根おろしと一緒に頂いてください。