京都御池メディカルクリニック[予防医療、検査、がん治療]

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「慢性的なめまい」の背景にあるものとは?

― 遅延型フードアレルギー検査を活かした一例と考察 ー

■体験談:検査をきっかけに生活の質が向上したAさん(仮名)
 40代男性のAさんは数か月間、めまいに悩まされていました。
 当然ながら標準的なアプローチとして耳鼻咽喉科において各種精査をされましたが有意な異常が見つからず、「ストレスの影響かもしれません」「自律神経の乱れかもしれません」と言われ投薬を受けて過ごしてきた方でした。
 投薬加療でやや軽快されたものの1か月で数回以上はめまいが出現しており、特に運転中などに起こると怖いと言った発言もありました。
  当院で実施した“食物特異的IgG抗体検査(いわゆる遅延型フードアレルギー検査)”では小麦・乳製品・卵白に対して高い反応が確認されました。この方はほぼ毎朝、パンを食べているということでしたので、これらの食品を中心に段階的に除去、変更するアプローチを取りました。
 その結果、約1ヶ月程度でめまいの頻度は減少し、3ヶ月後以降はめまいが出現しなくなり投薬無しで生活が可能となったという経過でした。現在は無理のない範囲でこれらの食品を調整しながら、以前よりも快適な毎日を送られています。

■体験談の意義と限界
 Aさんのようなケースは、臨床現場において複数経験をしています。
 ただし、こういった個々の体験談は医学的エビデンスとしては「レベルが低い」とされるのが一般的であり、検査結果と症状改善との因果関係を明確に証明することが困難です。
 プラセボ効果やその他の生活習慣の変化が影響している可能性も考慮する必要があります。それを理解したうえで、このような記事は読んでいく必要があります。
 故、このようなアプローチを取る際には患者さんの理解と納得が何よりも重要となるため私自身は日々、説明に長い時間を掛けてこの検査の結果、何が導き出せるのかといったことを十分に説明して患者さんと同じ方向を向けるよう努めています。

■海外の知見と臨床応用の可能性
 一方で、前回のコラムで触れた内容ですが海外においては食物特異的IgG抗体検査結果に基づいた除去食が、過敏性腸症候群(IBS)や頭痛、慢性疲労などに対して有効であったとする研究報告も存在します。
 こうした研究はまだ限定的ではありますが、「IgG抗体=疾患の原因」と断定するのではなく、「腸内環境や免疫反応の一端として捉え、体調改善のヒントとする」立場での活用は、十分に検討されるべきフェーズに入っていると自分自身は考えています。

■当院のスタンスとご案内
 当院では、遅延型フードアレルギー検査を単なるアレルギー診断ツールとは見なさず、症状・生活背景を踏まえたうえで、食習慣の見直しの参考情報として活用しています。
 無理な制限ではなく、あくまで「食べ方・摂り方の最適化」を目指した個々のアプローチを結果に基づいて説明しています。

 「原因がわからない不調」「薬を使わず体調を整えたい」とお考えの方は、一度ご相談ください。遅延型フードアレルギー検査やその活用法、また良い点だけでは無くその限界点についても丁寧にご説明させて頂き、一緒に考えて行きます。

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