京都御池メディカルクリニック[予防医療、検査、がん治療]

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再発予防という次のステージ             - 血中循環癌細胞(CTC)検査の可能性 -

 がんと診断され、手術・抗がん剤・放射線など標準治療を乗り越えて「完全寛解」という結果を得たとき、多くの方が「これで終わった」と思われるかもしれません。
 もちろん、その瞬間の安堵と希望は計り知れないものです。が、現場で自分自身が日々感じていたのは「治療の終了=本当の安心の始まり」ではなく、「次の予防ステージへのスタート」ということでした。
 今回は、再発予防対策としての一つの検査として提案している、血中循環癌細胞(circulating tumor cell: CTC)についてお話をしてみたいと思います。

●標準医療の限界:画像による経過観察のみ
 現在の保険診療では、がんの治療後に行うフォローアップは「定期的な画像検査(CT、MRI、PETなど)」が中心となります。これは、再発や転移の兆候を目に見える形で捉えるための非常に大切な方法です。
 その反面、「画像に写る=すでにある程度の病変が形成されている」段階と考えることが適切です。つまり、“再発の兆しを評価する”という観点では、現在の標準医療には限界があるとも言えます。

●血中循環癌細胞(CTC)とは?
 そこで自分自身が注目しているのが、「血中循環癌細胞(CTC)」の測定です。
 これは、がん細胞が血液中に遊離している状態を検出する検査で、画像診断では捉えきれない“超早期の再発転移リスク”を一定評価できる可能性があります。
 がん細胞は、腫瘍が目に見える大きさになる前から血液中に流れ出していることがあり、CTCの検出は「まだ画像に写らないがん活動の再開」を示唆するシグナルとも言えます。

●CTCと再発リスクの関係:エビデンスは?
 近年の研究では、以下のような報告がなされています:

  • 乳がん:CTCが一定数以上の患者群は、一定数以下の患者群と比較して再発率が2~5倍高いとされる。
  • 大腸がん:術後CTC陽性は再発リスクの上昇と相関し、無再発生存期間(RFS)との関連も示唆されている。
  • 肺がん、前立腺がん、膵がんなどでも、CTCの存在は予後不良因子とされる傾向がある。

 これらのデータから、CTCは“がんの静かな再起”を捉える生体マーカーとしての信頼性が高まりつつあります。

●自由診療だからこそできること
 残念ながら、現時点でCTC検査は保険適用外です。しかし、自由診療の枠組みだからこそ、標準医療の“隙間”を埋める予防的アプローチが可能になると自分自身は考えてきましたが、検査価格も高い等の理由からなかなか再発予防対策として広まるに至っていない現状にあります。
 具体的には、

  • 標準治療後の定期的なCTCモニタリング(例:3ヶ月~6ヶ月に1回)
  • CTC陽性が確認された場合のライフスタイル介入、免疫サポート、サプリメント・点滴療法の提案
  • CTC数減少に向けた栄養・代謝改善プログラムとの組み合わせ

 といった形で、患者さんが“次の再発”と向き合う前に手を打つことができる可能性があると自分自身は考えて取り組んできました。

●標準治療のその先にある“本当の安心”を目指して
 がんとの闘いを経て、ようやく日常を取り戻した方々にとって、“何も症状がないのにまた検査なんて必要?”と思われるかもしれません。
 しかし、「今、何もない」からこそ、次に備える意味があると当クリニックは考えています。
 CTC検査は未来の健康を守るための“先手の一手”という風に考えており、当院ではがんの治療を終えた方々に次のステージとしての再発予防をご提案しています。

 CTC検査という癌の再発転移リスクの評価、当院ではカウンセリングも実施していますので、ご興味がある方はぜひご相談ください。

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