癌早期発見検査の位置づけやその使い方
今日は当院で取り扱っている、癌の早期発見検査について触れていきます。
がんは「静かに進行する病気」と言われています。初期にはほとんど症状が出ず、自覚症状が現れたときには進行していることも珍しくありません。
そのため、がんの予防・早期発見においては「見えないリスクをどう見つけるか」が鍵となってきます。
◆ マイシグナル検査とは?
がん細胞が体内で発生・増殖する過程で、特定のマイクロRNA(miRNA)が変動することが知られています。
マイシグナル検査では、尿中に含有されるそれらのmiRNAを検出・AI解析することで、がんリスクを“非侵襲的”かつ“早期”に評価することを目的としています。
健診や人間ドックで用いられることが多い一般的な腫瘍マーカーとは異なり、マイクロRNAは発症よりも前段階で変動する可能性があります。そのため、予防医療の観点から非常に優れたポテンシャルを持っていると考えています。
◆ 対象となる癌
検査では院内で尿を取って貰い当院から検査会社へ検査を依頼します。
AIによって解析された尿中のmiRNAのパターンから、以下のような癌種ごとのリスクスコアが表示されます。

このリスクスコアは「今、がんがあるか」を診断するものではなく、「今後のがんリスクや、がんの存在が疑われるサインがあるか」を示す参考情報という位置づけになります。
◆ 実際の活用方法
当院では、以下のようなケースにおいて「マイシグナル検査」をご提案の上、活用しています。
- 健康診断で異常がなくても、がん家系が心配な方
→ リスク評価として、年に1回のスクリーニングに活用。
- 不調の原因が不明だが、がんの可能性も排除したい方
→ 胃腸症状、倦怠感、体重減少などの慢性症状が続く方にオプションとして提案。
- がんサバイバーの再発リスクモニタリング
→ 他の画像診断と併用しながら、サイレントな再燃を見逃さない補助として使用(この場合には当院でのCTC検査も他の検査選択肢として提案をしています)。
◆ 他の検査との併用がカギ
マイシグナル検査は単体で診断を確定する検査ではないため注意は必要であり当院にてお受けになられる方々にはその辺りの説明も十分にさせて頂きご実施頂いています。
そのため、PET/CT、内視鏡などの画像診断、腫瘍マーカー(CEA、CA19-9など)と組み合わせることで、より高精度な予防・早期発見の体制を築くことが可能と考えています。
当院の考え方としては、マイシグナル検査を「検査前の一次スクリーニング」としての位置づけとして極めて有用だと判断して、日常臨床にて用いています。
「症状が出てからでは遅い」とそう感じている方々こそ、一度、自身の体が発する“静かなシグナル”に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。
当院ではカウンセリングも実施しておりますので、お気軽にご相談頂ければと、思います。
