京都御池メディカルクリニック[予防医療、検査、がん治療]

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PFASとは何か?その危険性とは?

PFAS(パーフルオロアルキル化合物)は「永遠の化学物質:フォーエバーケミカル」と呼ばれここ数年、メディアなどで取り上げられるようになりご存じの方も多くいらっしゃるかもしれません。
化学的な特性から日常生活のさまざまな製品に使用されている人工的に作られた化学物質(有機フッ素化合物)です。しかし、自然環境中で分解されにくく人体にも蓄積するため健康への影響が懸念されており、全国でPFASに関する調査が進行しています。
その調査により関西圏ではPFASの濃度が高い地域が多く存在していることが明らかになっています。つまり、知らぬ間にPFASに長期暴露し体内に過剰蓄積している方や、それにより何らかの症状が出ている方もいる可能性があると考えています。当院ではPFASの血液濃度を調べる検査を実施していますので、それについては改めてお話します。 また保険診療では通常調べることのない有害金属が体調不良の原因となっているケースも経験しており、日本人が蓄積しやすいカドミウムや水銀などの評価もオリゴスキャンという機器を用いて調べることでカラダの現状を知ってもらい対策を提案しています。

PFASがどんなところに使用されているかというと以下のようなものが代表的です。
①不粘コーティングの調理器具:テフロン加工されたフライパンや鍋
②防水・撥水性の繊維製品:アウトドアウェア、レインコート、カーペット、カーテンなどの防水加工品
③食品包装材:ピザボックス、ポップコーン袋、ファストフードの包装紙など、油や水を弾く包装材
④消火器の泡(消防泡):特に油火災用の消火剤
⑤化粧品:防水性のあるファンデーション、マスカラ、口紅など
⑥工業製品:防錆剤、潤滑剤、塗料、ワックスなど、工業用の製品

実に多くのものに使用されていることが分かります。それゆえ、それを排泄したことで自然環境が汚染されていることは自明で、人体へも蓄積し健康被害が出ているものと推測されています。
研究や調査段階ではあるものの、どういった健康被害との関連性が言われているかというと、がんのリスク増加や免疫機能低下(感染症に罹りやすい、癌リスク増加などに繋がる)、脂質異常症、肝機能障害、甲状腺機能の異常、ホルモンバランスの乱れ(生殖機能低下や月経不順など)、妊娠および出生への影響(低出生体重や繰り返す流産、早産、妊娠中の高血圧症(妊娠高血圧症候群)など)、小児や胎児における発育や発達への影響、肥満や糖尿病リスクの増加など数々の病気との関連性が挙げられています。

PFASについて、NHKでは特集を組んで報道されていました。子育てのために田舎に移住されたご家族ですが、奥様が第2子の妊娠の際に流産を繰り返すことをご経験されたといった内容であったと記憶しています。

現状こういったことが懸念されているPFASですが、次回のコラムではPFASの汚染状況や当院での検査や介入について触れたいと思います。PFAS過剰蓄積に対する明確な医学的解答は今のところありませんが、そういったカラダに対する根本的アプローチができればと考えています。

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