京都御池メディカルクリニック[予防医療、検査、がん治療]

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動脈硬化性疾患に対する幹細胞治療について

当院は生活習慣病(高血圧、脂質異常症、糖尿病)に伴う動脈硬化性疾患に対して幹細胞治療を提供できる京都では数少ない医療機関です。

※厚生労働省に幹細胞治療の第二種再生医療等提供計画書を提出し、認可をうけております

私はこれまで心臓疾患を中心として生活習慣病や各種動脈硬化性疾患の診察を行ってきましたので、幹細胞治療を受けられる前に、まずはエビデンスのある医薬品等を用いた治療法を優先すべきという点はしっかりとお伝えします。その上で状況が変わらない場合は、幹細胞治療を責任持って提案いたします。

ただ保険診療で循環器専門医、心血管内治療専門医として15年間診察を続け、現在も九州にある心臓専門クリニックにて患者様をみていますが、やはり既存のアプローチでは状況の打開を図ることができないことを度々経験し悩んでおりました。それが「生活習慣病に伴う動脈硬化性疾患」に対する幹細胞治療を当院へ導入した理由でもあります。

幹細胞は分裂増殖する能力と種々の細胞へと変化する能力を持ちあわせており、病気やけがによって損傷した組織や臓器を修復することに役立ちます。幹細胞はカラダの様々な組織に含まれていますが、現在臨床的によく用いられているのは脂肪、骨髄、歯髄、臍帯等です。幹細胞治療のメカニズムはホーミング効果 (損傷組織に対して幹細胞が集積する現象)や、パラクライン効果(幹細胞が分泌する生理活性物質が効果を発揮する)などが考えられています。実際に幹細胞治療と同様の治療機序と考えられる幹細胞培養の際に発生する上澄み液(幹細胞培養上清液)を用いた治療によって、入退院を繰り返していた虚血性心筋症による難治性慢性心不全の改善を得た経験があり学会において報告させて頂いています。他にも頸動脈プラークの退縮の症例や、心筋梗塞・脳梗塞のリスクスコアが改善したケースも経験しています。

再生治療にはiPS細胞やES細胞などもありますが、その中で一番臨床的な経験が進んでいるものがやはりこの幹細胞治療と言えます。幹細胞治療はすでに各大学病院などを中心として各種難治性疾患に対して治験が進んでいます。(https://saiseiiryo.jp/skip_archive/knowledge/base/tissue/)

とは言うものの、この治療の十分な理解が進んでいるかというとまだまだ不明な部分も多く存在することから、その適応には慎重でなければならないというのが私の考え方です。それゆえ当院ではカウンセリングで現状実施されている標準治療の見直し、幹細胞治療以外の他アプローチの検討、幹細胞治療の利点と潜在するリスク等を十分に話し合ったうえで治療を決定することを基本としています。

当院では患者様から脂肪を採取し、同じグループ病院であるりんくうメディカルクリニック併設のCPC(細胞培養加工施設)において幹細胞培養を実施し厳格なチェックのもと幹細胞を治療に用いています。

次回はりんくうメディカルクリニック併設のCPC(細胞培養加工施設)での幹細胞培養について掲載します。

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