朝起きられない原因は「副腎疲労」の可能性②
お盆も過ぎましたが、夏バテなど体調くずされておりませんか?今年は私自身も暑い中公園に2-3時間息子に付き添っていましたら、不覚にも熱中症になりました。水分摂取はしていたのですが、学びの多い夏だなと思っています。前回は「慢性疲労症候群」という長期間続く疲労についての話や、その原因の一つとなっている可能性のある概念「副腎疲労」のお話をしました。今回はその辺りの検査やそういった方々への種々のアプローチについてお話しします。
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本内容はKBSラジオ「さらピン!キョウト」内コーナー「Dr.村西の健康ライフミーティング」内にて 本院院長・村西寛実がお話しした内容をコラムとして掲載しております。
「さらピン!キョウト」番組サイトhttps://www.kbs-kyoto.co.jp/radio/sara/
コラム内容のラジオ録音
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副腎疲労とは
副腎という腎臓の上にある小さな器官があって、そこでストレスに対抗し、元気な生活を送れるように様々なホルモン(コルチゾールなど)を作っています。皆さん何かしらに対するストレスを感じながら、またそれに対抗しながら人生の歩みを進めておられると思います。強いストレスを感じると、この副腎という臓器は一旦ホルモンの分泌を増加させて抵抗しようとします。ただ、そういった状態が持続し疲弊していくと最終的にはホルモンを分泌することができなくなってしまい、慢性的な非常に強い疲労感や虚無感、幸せを感じないなど様々な弊害をもたらします。こういった状態のことを「副腎疲労」という概念として捉えています。
◆副腎疲労は唾液検査で
当院ではアメリカの検査機関を利用して、唾液中に含まれているコルチゾールというホルモンの数値を調べる検査を実施しています。具体的には朝起きた時点から夜寝るまでの間で時間を設定して唾液を1日6回程度採取してもらうといったもので、針を刺したりしませんので痛くないですし、やりやすい検査ではあると思います。ホルモンは体内時計(サーカディアンリズムと言いますが)によって絶妙にコントロールされています。通常体調不良の無い健康な方においては、コルチゾールは朝6-8時にかけて徐々に上昇していきこれから活動をしていく準備をカラダが自動的にしていきます。しかし何らかの原因で副腎の分泌機能が落ちている場合には朝からすでにこのコルチゾールが低く、それが一日中低かったり、夜になって上がったりなど変化がみられるようになってきます。通常は夜にかけて低下していき睡眠に入っていくわけですが、夜になって上がっていると睡眠をとりにくかったり、途中で覚醒したりなど睡眠の質にも影響が出てきて、更にそれがカラダに対してストレスとなっていくという悪循環へと陥っていくことになります。
https://kyoto.krg.or.jp/screening/car/(唾液中コルチゾール検査)
◆ 副腎疲労の改善方法
なぜこの副腎疲労という状態へと陥っていくのかということを考えていくと、非常に多くの原因が関与していまして医学的にも解明できていない部分が多いのも事実です。ですから、こういった概念自体を否定的に捉えている学会なども存在しているのだと思っていますが、とは言え困っている方々が現実にはおられるわけで、それを改善していくために何ができるのだろうかというのを考えて診療に当たっています。原因のなかには栄養素の過不足もありますし、腸内環境へアプローチや重金属の過剰蓄積など様々な方向性からカラダを見て、またその患者様自身の生活環境や精神状態といったところも伺いながら、何とか改善の方向に持っていけないかと試行錯誤しています。特に性格的に真面目で、頑張り屋さん、完璧主義で几帳面なタイプの人は副腎を使って使って日々のストレスと戦い続けているうちに摩耗していくという傾向がありますので、自分自身のことも一度見直していただければと思います。私自身もそういった性格のため、この状態に陥っていたであろうと思われる時期がありました。意識的に気を抜いたり食事を変えたりサプリメントで必要なものを補充したりなどして徐々に改善しましたが、多くの方々にも少なからずこういったご経験があるのではないかなと思います。今回2回に渡ってお話したような内容で困っている方がおられたら、一度ご相談にいらしていただければと思います。
◆カラダに良いとされる食材『万願寺とうがらし』
言わずと知れた京野菜のうちの一つで、旬の時期もぼちぼち終わりますが、ビタミンCをはじめ、ビタミンE、β-カロテンなど抗酸化系のビタミンが豊富ですので、暑い夏をすごし、これから残暑を乗り切っていくためのカラダ作りに使ってもらえると良いかと思います。