保険診療とどう違う?自由診療について
堅いテーマですが、私自身が過去に経験してきた保険診療での標準治療、そして現在の自由診療における治療選択肢の狭間で、クリニックを開業してから今まで常に考えてきたことです。今回はそんなお話をしたいと思います。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本内容はKBSラジオ「さらピン!キョウト」内コーナー「Dr.村西の健康ライフミーティング」内にて 本院院長・村西寛実がお話しした内容をコラムとして掲載しております。
「さらピン!キョウト」番組サイトhttps://www.kbs-kyoto.co.jp/radio/sara/
コラム内容のラジオ録音
◆「保険診療」と「自由診療」
日本には「保険診療」と「自由診療」という2つの診療制度があります。一般的に言われている保険が効く・効かないというものです。保険診療は、日本の公的な医療保険制度に基づいて行われる医療のことで、一般的な疾患やケガに対して、国が定めた標準的な治療が提供されます。この「標準的な」というのは、エビデンスが豊富に存在する治療アプローチという意味です。保険でカバーされますので費用負担は少なくて済む一方、患者様の状態や要望に合わせて個別化された治療というのは提供されにくい場合もあります。自由診療は保険診療の枠を超えて行われる医療のことで、保険診療では提供されないより広い治療法や選択肢がありますが、科学的な根拠やエビデンスが不足している場合も多いという問題点が潜在しています。
◆自由診療のアプローチ方法
保険診療の総合病院で働いていた時も自由診療をやっている現在も、常に悩みが絶えません。標準的な治療で回復しその後も問題ないという場合は良いのですが、標準治療で上手くいっていない方、あるいは標準治療の適応が難しいケースや標準的な検査では原因が特定できないといったケースを経験すると、検査や治療の選択というのは非常に難しい問題であると実感しています。当院での経験ですが、比較的若く仕事も頑張っておられる方が、食事を摂ると胃が張って吐き気がし、食事が取れなくなり、さらに仕事も十分にできなくなった方がおられました。保険診療において胃カメラなどで臓器に問題がないことを確認した後、内服による治療で経過をしばらく見たが改善しない、そうなると心の問題なのではなかろうかということで心療内科や精神科に行くよう勧められたそうですが、その患者様はココロの問題ではないというご自身の感覚で当院へお越しになりました。当院で違った方向性から採血など実施してみると、ビタミンやミネラルの過不足、自律神経の異常などがあり、その辺にアプローチして半年ほど経過を診たところ、無事通常の生活へと戻られています。このケースは幸いその患者様にとって良い方向へと進みましたが、エビデンスという観点では十分ではないことなどもありなかなか難しいといつも思っています。エビデンスのある治療アプローチが奏功しない、でもエビデンスの十分でない治療アプローチはあるものの保険が効かず自由診療でのアプローチとなる、それをどう医療者と患者様で認識を共有しながら進めていくのかということは常に自分を悩ませているところです。
◆自由診療を生かしたサポート
年齢が上がってくると多くの方が様々なカラダの不調や病気と付き合っておられると思いますが、今後の人生において病気との向き合い方を一緒に考えて決めていくことが、その治療を進めるにおいて何よりも重要かもしれないと考える日々です。昔は自分の治療介入や頭をひねって、多くの論文やエビデンスを読んで決定した治療介入によって患者さんを「治している」という感覚でいたように記憶していますが、現在は患者さんが治っていこうとするその背中を少しだけ押しているような感覚でいます。自由診療のアプローチは本当に多くのものが存在し、それぞれ賛否両論もあります。とにかく良くなって頂くために患者さんの背中をそっと押せるための最適解となるアプローチを日々模索してご提案しながら一緒に考えて進んでいるというのが、頼りなく聞こえるかもしれませんが本音なのかなと思っていますしそういった事を患者さんにも正直にお伝えしています。今日は少し堅い話になってしまいましたが、常に自分がジレンマに感じているところでお話をさせて頂きました。ガイドラインで指定されている治療アプローチについては専門外であっても勉強して重要視しながらも、それのみではカバーできないところもあるというのが自分自身の考え方ではあり引き続き歩みを進めたいと思っています。
https://kyoto.krg.or.jp/counseling/(カウンセリング)
◆カラダに良いとされる食材『おかひじき』
最近よく食卓に上るのですがクセも無く美味しいです。我が家はサッと茹でて鰹節とポン酢で頂いています。抗酸化作用もありますしカリウムが豊富なので夏バテにも有効ですが、透析をされている方や腎臓機能が悪い方はご注意頂ければと思います。