脂肪細胞の種類と働き
肥満が様々な疾患や生活習慣病の原因になっているのは皆さんもご存じとは思いますが、過剰に痩せているというのも、それはそれで脂肪不足がカラダに種々の悪影響を与えているということが分かっています。脂肪はあまり良いイメージを持っていないかもしれないですが、実は人体において大切な役割も担っています。
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本内容はKBSラジオ「さらピン!キョウト」内コーナー「Dr.村西の健康ライフミーティング」内にて 本院院長・村西寛実がお話しした内容をコラムとして掲載しております。
「さらピン!キョウト」番組サイトhttps://www.kbs-kyoto.co.jp/radio/sara/
コラム内容のラジオ録音
◆脂肪の種類と働き ―白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞―
脂肪は皮下脂肪と内臓脂肪の2種類があります。では白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞、これはあまり知られていないのではないかなと思います。白色脂肪細胞は、血液中に過剰に流れている中性脂肪や糖分などを取り込んでエネルギーとして蓄える役割があり、必要時にはその蓄えたエネルギーを放出して熱や生命体の活動力に変換しています。このバランスが崩れて、エネルギーの放出よりも取り込んで蓄えることが過剰に増えた状態、これが肥満です。もう一つの褐色脂肪細胞についてはよく分かっていない点も多いのですが脂肪を燃焼させる細胞で、この褐色脂肪細胞の活動が低いほど、BMI(肥満の指標)が高かったり内臓脂肪が多かったりというようなことが分かってきています。
◆脂肪の良い側面 ―アディポネクチン・エストロゲン・レプチン―
当院で調べている採血項目の中に「アディポネクチン」という項目があります。中年以降の動脈硬化性疾患の予防介入として、ご自身の現状を捉える際に一つの指標として使用しているのですが、これは白色脂肪細胞(正確に言うとそれを含めた脂肪組織全体)が分泌してくれる物質で、血管内の炎症を抑え、動脈硬化進行を抑制することが分かっています。他にもエストロゲンという女性ホルモンにも関与していますので、過剰に痩せた女性、若い方多いですがそういった場合、やはり月経不順などが出てきます。以前少しお話したこともあったように記憶していますがレプチンという食欲の調整をしているホルモンにも関係をしています。
◆脂肪の悪い側面 ―糖尿病・高血圧・血栓―
一方で皆さんのイメージ通り、脂肪組織は悪さもします。色々な因子を放出して糖尿病や高血圧、血栓といって血の塊を作りやすくしたり、免疫システムに炎症を引き起こしたりなど悪影響もあるのは確かです。良さも悪さもする脂肪ですが、中性脂肪の取り込みが多く、白色脂肪細胞のサイズが大きくなって数が増加し肥満になってくると、善玉の因子を出してくれていた脂肪組織がワルモノに変身してしまってカラダにとって有益な因子の分泌が減少し、そして有害な因子を出すようになってくると今のところ考えられています。状況によって変わる味方でもあり敵でもあるといった感じです。
◆「脂肪」との付き合い方
動脈硬化を抑制するアディポネクチンは内臓脂肪が増加することで分泌量が低下しますので内臓脂肪型肥満を改善していくことでその分泌量は自然と増加してきます。トウガラシに含まれるカプサイシンなどなど色々と言われているものは種々あるのですが、やはり肥満や生活習慣病を予防するには、特定の食品や薬・サプリメント・点滴などに頼りその効果に依存するのではなくて、摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスを考えて食べること(腹八分目)と適度な運動をする、これに結局は尽きるのだと思います。その理解の上で相乗効果を狙って、疾病予防に有効な可能性のある食品やサプリメント等をあくまで補助的に摂るという意識が大切かもしれません。
◆カラダに良いとされる食材『みかん』
妻の実家が瀬戸内海の島というお話を少ししましたが、実はその島はみかんの名産地でして正月帰ったときに子供も含めてよく頂きました。先日子供に寝る前の読み聞かせで読んでいた本にも「みかん食べる子風邪ひかん」と書いていたのを思い出しまして今回はミカンを選びました。言わずと知れた冬の果物で、ビタミンAやC、果肉を包んでいる皮も食べて腸内細菌叢の調整にも繋がります。「コタツでミカン」ぜひよろしくお願いします。