ストレッチの効果
前回のコラムにて「フレイル」をテーマに取り上げ、筋力が落ちてくることにより疾患へと繋がっていくお話をさせて頂きました。当院では専門療法士による筋委縮の評価や柔軟性の向上、患者様それぞれに応じた普段の生活でできる筋力トレーニングの方法をお伝えするなどして疾患予防に努めています。そこで今回はご自宅でできるストレッチについてお話させていただきます。ストレッチといえば、運動をする前と後にするといった認識の方が多いかと思いますが、皆様普段からされていますでしょうか?
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本内容はKBSラジオ「さらピン!キョウト」内コーナー「Dr.村西の健康ライフミーティング」内にて 本院院長・村西寛実がお話しした内容をコラムとして掲載しております。
「さらピン!キョウト」番組サイトhttps://www.kbs-kyoto.co.jp/radio/sara/
コラム内容のラジオ録音
◆簡単なストレッチのお勧め
ストレッチは伸ばして気持ちが良いイメージだと思いますが、少し堅苦しい言い方をしますと「意図的に筋や関節を伸ばす運動」ということになり、ヨガとかピラティスもこの運動の範疇に入ってきます。他にも、ストレッチはある程度の運動強度(2-3メッツ)がありますので体温や筋肉の温度を高める効果があると報告されています。細かい理論はさておき、もちろんカラダの柔軟性もあげます。生活習慣病やメタボリックシンドロームの予防に効果的かどうかまではさすがに十分なエビデンスはありませんが、習慣的にヨガを実施することで血圧を低下させることも報告されています。先ほどの「伸ばして気持ち良い」というのも、全身の筋肉を順番に伸ばしていくようなストレッチの前後では、前頭葉でのα波を増加させて心拍数を低下させる、つまり自律神経の活動が副交感神経というリラックスする側に動いているといったことが報告されています。
◆ストレッチの効果① ―睡眠改善に有効―
寝る前に布団に入って肩回り、腕、太もも、お尻辺りを10分くらいかけて伸ばすようにしていますが、ストレッチをしていない時よりもした方がスッと眠りに落ちているように思いますし、比較的よい睡眠がとれているように感じます。お風呂上りにテレビを見ながら、音楽を聞きながらでも良いですし、日常生活でストレッチをする隙間は結構あるように思います。「寝る前の軽いストレッチは睡眠改善とストレス緩和に有効」といった報告も複数ありますので、最近眠りが悪いとかなかなか寝つきが悪いなと感じる方がいらっしゃいましたら、今日からでもすぐにできますので試して頂ければと思います。
◆ストレッチの効果② ―体の不調にも有効―
エビデンスという観点では乏しいですが、例えば慢性的な頭痛でお困りの方に対してもストレッチは有効と考えます。筋緊張性頭痛という頭痛があり、最近はスマートフォンやPCを使用している方がほとんどで、首や肩周りの筋肉はバッキバキに固まっています。そして例えばスマートフォンを左手で持って右手で操作している、あるいは右手だけで操作しているなど様々な行動パターンがあり、そのパターンによって固まっている筋肉は違いますので、それぞれアプローチも変わってきます。ストレッチと一言でいっても様々な方法論があり、結局のところ何をすればよいですか?という疑問も多いと思いますし、私自身も疑問に思っています。患者様のカラダや筋肉も触らずに「運動しておいてくださいね」とか「ストレッチしてみてくださいね」と私自身も日常臨床で言っていたことも多かったように思いますが、その方のカラダの筋肉のバランスや、どこが弱くてどこに負担がかかっているのかといったことも把握して初めてそれぞれに合った方法が導き出されるのかなと思います。カラダというものを医師の立場からだけではなく様々な視点から捉えて予防に繋げていくことをご提案させていただいておりますのでご興味のある方はぜひ、お問い合わせを頂ければと思います。
◆カラダに良いとされる食材『牡蠣』
言わずと知れた海のミルクです。亜鉛欠乏の方が多い傾向にあると感じています。当院では患者さんの体調不良を栄養の側面からも捉えていますが、今までに栄養解析の採血をさせて頂いたほとんどの方が亜鉛欠乏あるいは不足の状態でした。亜鉛はお肌のターンオーバーや傷の修復といったことから、免疫機能の向上や髪の毛の維持、メンタルの安定など様々なところで活躍してくれる栄養素なのでぜひ、冬が旬の牡蠣を取り入れていただければと思います。