朝起きられない原因は「副腎疲労」の可能性①
とにかく暑いので皆さん夏バテしていませんでしょうか?暑さで朝からカラダがだるい方、そのだるい状況が長く続いている方、それによって日常生活や仕事に影響が出ている方はおられないでしょうか?各医療機関に罹って色んな検査をしてみてもあまり問題ない結果であるが、ご本人は非常に困っているということもよくあります。今回と次回はそんなお話です。
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本内容はKBSラジオ「さらピン!キョウト」内コーナー「Dr.村西の健康ライフミーティング」内にて 本院院長・村西寛実がお話しした内容をコラムとして掲載しております。
「さらピン!キョウト」番組サイトhttps://www.kbs-kyoto.co.jp/radio/sara/
コラム内容のラジオ録音
▶「慢性疲労症候群」とは
まさに名前の通り、慢性的に持続して疲労が蓄積していて様々症状が出ている状態のことですが、医学的には症状や原因が非常に複雑で不明確な場合が多く、他の疾患との鑑別が困難な場合も多いことから、その位置づけについては様々な意見が存在します。WHO(世界保健機関)では特定の疾患と定め、研究や情報共有が進められている疾患として位置づけていますが、未だに解明されていない部分が多くあります。
▶ 「慢性疲労症候群」の特徴
慢性疲労症候群は、カラダやココロの持続的な強い疲労感が特徴です。カラダの面では運動や日常生活におけるエネルギーが低下し、今までのように活動できなくなったり、ココロの面では不安感やうつ症状、集中力の低下、イライラ、喜びや興味などの感情が鈍くなったりなど実に様々な症状を呈します。一般的な疲労感や日常の疲れとは異なり、休息や睡眠を十分に取っても改善せず、長期間に渡り症状が持続していきます。ちなみにコロナ禍で「long covid」というコロナ罹患後に様々な症状が続いている方がおられることが分かっていますが、その一部もこの慢性疲労症候群とオーバーラップしているという考え方も存在します。
▶「慢性疲労症候群」の診断方法
詳細を述べるのは控えますが、半年以上続くような強い倦怠感など様々な症状を参考にして臓器レベルでの問題がないかを採血や尿検査、画像検査等々で調べ、他の疾患と区別するというのが大まかな流れです。色んな医療機関に受診して様々な検査を実施しても有意な異常が認められず、最終的には精神的な問題なのではということで心療内科へ紹介される方などもいらっしゃると思います。似たようなものに副腎疲労というのもあります。これについては医学的な位置づけ自体は曖昧で、副腎疲労の概念に対して懐疑的な立場を取っている学会も存在します。私自身はこの副腎疲労が慢性疲労症候群の原因の一つとなっている可能性が十分にあると考えています。
▶「副腎疲労」とは
副腎というのは腎臓のうえにくっついている小さい臓器なのですが、コルチゾールというホルモンを作り出している、人間にとって非常に重要な臓器です。コルチゾールは特にストレス対応に重要な役割を果たしていて、ストレスがかかると、副腎はコルチゾールというホルモンを分泌してそれと戦うカラダを作り出す、そんなイメージです。通常、朝に最も高いレベルに達していて(さあ、これから動き出すぞという感じです)、日中に徐々に低下していき夜間に最も低いレベルとなります(寝ている時に戦っていると休めませんので夜間には下がります)。こういった1日のサイクルが、いわゆる体内時計を調整するのに重要で、このホルモンが適切な時間帯に適切なバランスで分泌されていないと一時的に副腎疲労という状態に陥るとされています。今日のテーマである慢性疲労症候群の原因の一つとしてこの副腎疲労が背景にある可能性があるため詳しく調べておく意義はあると考えています。では、どういった検査で調べていくかということなのですが、当院では唾液を1日4回ないし6回提出してもらいそのコルチゾールの値を測って1日の中でどう変動しているのかを調べています。次回は検査と治療介入などについてお話ができればと思います。いずれにしても暑い日々が続いていますので熱中症には気を付けていただき、お盆はご先祖様に感謝してお過ごしいただければと思います。
https://kyoto.krg.or.jp/screening/car/(唾液中コルチゾール検査)
◆カラダに良いとされる食材『すだち』
今が旬で、爽やかな香りと酸味で暑い夏の食欲を刺激しますよね。ビタミンCが豊富で、猛暑における疲労回復、高温によるストレス対策、食物繊維も含んでいて消化促進と腸の健康維持にも役立ちますので料理やドリンクなどに取り入れてうまく活用してみてください。