自律神経の乱れと症状②
前回のコラムにて、自律神経とは何かをご紹介させて頂きました。今回はその診断や疾患との関連性などのお話と、重要な自律神経をコントロールするためのアプローチもご紹介できればと思います。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本内容はKBSラジオ「さらピン!キョウト」内コーナー「Dr.村西の健康ライフミーティング」内にて 本院院長・村西寛実がお話しした内容をコラムとして掲載しております。
「さらピン!キョウト」番組サイトhttps://www.kbs-kyoto.co.jp/radio/sara/
コラム内容のラジオ録音
◆「自律神経失調症」とは
私たちの体はアクセルの交感神経とブレーキの副交感神経が常に調整をしており、このバランスを崩すと「なんだか調子が出ない」…という状態になります。このバランスを完全に崩してしまった状態がいわゆる「自律神経失調症」ですが、そもそも「自律神経失調症」というのは医学的に正式な疾患名ではなくて、診断基準が確立していなかったり、医師によって見解や治療方針が異なったりと曖昧な部分も多いのが現状かと思います。自律神経失調症は噛み砕いて言うと、様々な自律神経症状があって、色んな検査をしても身体疾患が見つからず、かつ明らかな精神障害を認めないこと、これらを満たすような状態を指します。例えば動悸を感じる方の場合、循環器内科(心臓の専門医)で複数の検査を受けて不整脈が無いか、心臓に問題が無いかを確認する必要がありますし、眩暈症状のある方は脳神経内科や耳鼻咽喉科で脳や耳に問題が無いか検査を受けることが前提です。そのうえで何も異常が見つからず、身体疾患の可能性が低いという場合に自律神経失調状態であると言うことができます。
◆自律神経失調症の治療方法
自律神経による症状は不定愁訴と言われ、頭痛、耳鳴りや眩暈、動悸や吐き気、便秘や下痢、倦怠感や不眠など本当に様々です。検査では異常が無いですし、自律神経を調整する何か簡単な薬があれば楽に治療できるのですがそれが無い、というのが難しいところです。以前、循環器内科で外来をしていた際に、患者さんが動悸がするということで受診されたのですが心電図は問題なし、その後詳しい検査をしても異常所見が無く「問題なかったので少し様子見てください」と言う説明をよくしていました。でも患者さんはその症状に困っているので受診を繰り返され、検査も複数回やるといったことも良くありました。その場合、西洋医学的には不安を抑える投薬など行って経過を診るというのが一般的かと思いますし、自分自身もそのように診ていました。
◆自律神経のバランスを崩さない為には ~緊張と緩和~
自律神経失調による症状や原因も人によって様々なので、それをコントロールする方法や最適解も人によって異なるというのが難しいところです。ここからは個人的な見解もありますので、厚生労働省が発信する統合医療にかかわる情報も参考にしてください。まずは自分自身や周りの状況などを俯瞰的に見る癖(メタ認知)を普段からつけて、自分がどちらの神経優位になっているかを把握することが重要かもしれません。自律神経を調整する方法は様々ありますが、抑えておくべきキーワードは「緊張と緩和」です。これを伴うものであれば概ね効果を出してくれるのではないかなと考えています。
◆具体的にどうすればよいのか?
私自身バランスが崩れそうな時に使うのは銭湯やサウナです。強力なエビデンスがあるかは把握できてはいないのですが、体感的には良いもので日々活用しています。暑いところで緊張して、水風呂で緩和するといった感じですね。他にも運動はまさにその代表格で、歩いたり走ったりすることで緊張状態を作り出して、その後にストレッチで緩和する。お笑いもそうです、笑って笑って笑って、最後に「ハ~、面白かった!」と緩和する。また、当院で提供しているボディコンディショニングも、少し痛い施術ですが緊張と緩和の組み合わせです。それぞれの方の時間の使い方にマッチするものをご選択頂いて日々調整しながら人生を進めるのが良いと考えています。エビデンスあるかと言われれば無いのですが、今からでも無料で試せる「爪のマッサージ」もあります。これもやはり緊張と緩和で成り立っていて、それぞれの指の爪の生え際を20秒-30秒少し痛いと感じるくらい押して、離すというのを足も含めて20本やるというやつです。爪の生え際には神経が密集していますので疲れ気味の方はぜひ試して貰えたらと思います。
特にこの4月から新しい環境で頑張っている方々には自律神経様様でそこも意識しながら「頑張りすぎず、楽をし過ぎず」で進んで欲しいと言う風に思います。
◆カラダに良いとされる食材『春キャベツ』
食材に迷ったら旬の食べ物ということで今回ご紹介するのは春キャベツです。春キャベツは冬のものと比較するとビタミンCの含有量が多く、強くなってくる日差しに対抗するためにも多くの栄養分を含んでくれているのだろうと思っています。甘くて柔らかく食べやすいですし、ビタミンCは水溶性ビタミンで熱にも弱いので、出来る限り生で食べるか、あるいはスープにして飲むのもお勧めです。