食物繊維が多いのは冷えたごはん!?<レジスタントスターチ>
前回のコラムでサツマイモをご紹介させていただきましたが、その際に「レジスタントスターチ」という言葉が出て来ました。予防や健康の意識が高い方も多いので書籍やインターネットで既に知っている方も多いかもしれませんが、ご説明させて頂きます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本内容はKBSラジオ「さらピン!キョウト」内コーナー「Dr.村西の健康ライフミーティング」内にて 本院院長・村西寛実がお話しした内容をコラムとして掲載しております。
「さらピン!キョウト」番組サイトhttps://www.kbs-kyoto.co.jp/radio/sara/
コラム内容のラジオ録音
◆レジスタントスターチとは?
「レジスタント」は「(消化酵素に)抵抗する」、「スターチ」は「でんぷん」という意味で、これを組み合わせた言葉です。つまりは「消化しにくいでんぷん」のことですが、これが食物繊維と同じような機能を発揮することが分かってきています。食物繊維には大きく分けて2つありまして、一つは根菜類や海藻類、一般的な野菜などに含まれる水溶性食物繊維というもの、もう一つは大豆などの豆類やゴボウ、穀類などに含まれる不溶性食物繊維というものです。水溶性食物繊維は腸内細菌のエサになるもので、不溶性食物繊維は水分を吸収することで便を大きくして大腸の動きを活発にしたり、便に有害物質を取り込んで便と一緒に体外へ出してくれたりするため、大腸がんなどのリスクを減らすとも報告されています。そして、実はレジスタントスターチはこの水溶性、不溶性のどちらの機能も備えていて、「ハイパー食物繊維」とか言われています。ハイパーなのですから、これは取るしかないですね。
◆レジスタントスターチをたくさん摂るには?
ここで出て来るのが、今回のテーマ「たまには冷えたご飯はいかがでしょう?」です。穀類やいも類に含まれているでんぷんは、加熱調理すると構造が変化して消化されやすくなりますが、冷えると再び消化されにくい繊維質に変化します、これが今回の「レジスタントスターチ」ですね。つまりは調理したてよりも冷めた状態のほうが、レジスタントスターチが豊富に含まれることになります。昔は電子レンジも炊飯ジャーもありませんでしたので、お櫃に炊いたお米が入っていて、もちろん炊き立ては温かいですが、翌朝には冷えたご飯を食べることでレジスタントスターチを摂取して、知らぬ間に腸内環境を整えながら健康を維持されていたのかもしれません。
◆暖かいものより冷えたご飯の方が多い?!
実はレジスタントスターチは、食後の血糖値の上昇を穏やかにして満腹感を持続させる効果があることが健康成人を対象とした試験で確認されていたり、血液中のいわゆる悪玉コレステロールが低下することも複数の研究で報告されていたりしますので一石二鳥です。もちろん薬を飲むわけではなくて生活習慣を変えるというアプローチですので、地道にやっていく必要こそありますが試してみる価値ありかなと。
◆具体的に良い実践方法は?
例えばお弁当を作って職場にもっていく方なら、電子レンジで温めずに食べてみる(実際に自分はやっています)とかが一番現実的ではないでしょうか。3食全部冷えたご飯を食べるのも寂しいので、そういったことから始めてみるのも良いかもしれません。何本か蒸したサツマイモをまとめて作って、1本目は温かいまま食べて、残りは冷蔵庫とかで置いておいたものを翌日に温めずに食べるといったカタチでレジスタントスターチ摂取に役立てみてはいかがでしょうか? 意外に冷えたサツマイモも美味しいので、ぜひ試してみてください。生きている以上、毎日食べます。小さいことですが、お昼は冷えたご飯を食べてみるだけでも3食のうちの1食でレジスタントスターチを多く取れて、それが毎日となればその積み重ねたるやまぁまぁ大きくなると思います。「冷や飯を食わされる」のはイヤですが、自ら進んで冷や飯を食べたならばそれはカラダを健康に向けてくれますのでぜひ、健康習慣の一つとしてお試し頂き継続できそうであればご継続頂くと良いかなと思います。
◆「体に良い」とされる食材は『山芋』
山芋も秋が旬の食材ですね。日本の寒い冬を乗り越えるカラダを準備するため、この時期地中から取れる芋類はそれに適した栄養素を含んでいます。あとレジスタントスターチという点で言うと、山芋は火を通さずに食べることができるので効果的にレジスタントスターチを取ることができます。山芋の短冊に鰹節とワサビ、醤油の組み合わせが個人的には好きですが、鰹節も醤油も発酵食品の一つですから、鬼に金棒の良い一品になるかなと思います。