脳疲労の回復の為に
いきなり質問からですが、「あなたの脳疲れていません??」。例えば、山を登ったり、ランニングをしたり長距離歩いたり、何でも良いんですがカラダを動かすと足や腕に筋肉疲労、いわゆる筋肉痛を感じることがあると思います。そういう考え方でいくと、もちろんですが、脳も使えば使うほどに疲れていきますし足や腕の筋肉疲労と同じで使いすぎると使い痛みともいえる何らかの障害も出て来るということになります。これを「脳疲労」と呼んでいますが、今日はその脳疲労についてお話をさせていただきます
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本内容はKBSラジオ「さらピン!キョウト」内コーナー「Dr.村西の健康ライフミーティング」内にて本院院長・村西寛実がお話しした内容をコラムとして掲載しております。
「さらピン!キョウト」番組サイト
https://www.kbs-kyoto.co.jp/radio/sara/
コラム内容のラジオ録音
◆脳疲労とはどういった状態なのか
足や腕の筋肉痛って分かりやすいと思いますが、脳の疲労というのは実に分かりにくかったりしますし時に様々な症状として出ていたりするので余計にややこしくなっています。脳というのは非常に特殊な臓器ではあるので足や腕の筋肉痛のように脳疲労を簡便に説明するのは非常に難しいですが、簡単にかみ砕いて言いますと我々の脳は「理性」、「本能」、「自律神経」を司る大きく3つの部位があってそれぞれがうまく調整し合うことで入ってくる情報を次々と処理をしていますが、それがいわゆるキャパオーバーの状態になってくるとそれぞれが絡み合うカタチで脳の動きが鈍くなってきてしまいます。例え話でいうと、パソコンで一気に色々なことをしすぎて処理量が多すぎると固まってしまい画面がフリーズしてしまうといったようなイメージです。
◆脳疲労に至る原因には何がありますか??
主たる原因としてストレスと情報過多が近年は言われています。特に現代社会は動き続けていて休むことを知らないストレスフルな社会ですし、コロナのことで社会不安も大きく次から次へとしなければならないことが出てきて休む暇もありません。スマートフォンなどはまさにその典型ですが、次から次へと良いものも悪いものも様々な情報を我々の目の前、脳の前に否が応でも出してきて無理にでも処理させるように働きかけます。朝起きてまず今日の天気どうかな?と空すら見ずに、まずスマートフォンでメールをチェックする、こんな方が多いのではないでしょうか?今日の気温どうかな?と外に出て体感温度を確認せずにスマートフォンやテレビの温度予報を見ている人も多いのではないかなと思います。それぞれのライフスタイルではあるのでそれを決して否定するものではありませんが、体調がすぐれないなど何か症状があるようなら、小さなことに思えるかもしれませんがそういったことを少しずつ変えて毎朝を過ごしてみるだけでも何かが変わる可能性はあるように思います。
◆脳疲労の状態に気づくには
機械のように脳に電池メーターみたいなものがついていれば分かりやすいのですが、そうにもいきませんので、やはり自分で自分の体調を振り返りそれに気づいてあげる努力をする必要もあるかと思います。症状として出やすいと言われているのは味覚の低下(非常に塩分量の多い辛いものや甘いものを好んで取るようになったり)や過食、不眠や便秘などの様々な症状が言われていますがそれらで脳疲労を自覚できる場合もあります。自己診断のチェックリストもあり当クリニックでもチェックできますし、インターネット上にも落ちていますので一度自己の状態を確認してみるのも良いかもしれません。先ほど言った睡眠障害や食事に関する質問、便秘などの項目以外にも寝ても寝ても疲れが取れないだとか、作業に集中できないといった項目、あと理由は無いけどイライラする、不安だ、気分が沈むといったメンタル面に関する質問などもあります。いわゆるこの「未病」の状態であるうちは忙しさの中にいるとなかなか自己の状態に気付き難かったりしますが気付かずにそのままの生活スタイルを続けていくと、カラダの変調が悪化しいわゆる大病を発症してしまいます、それが例えばうつ病であったり認知症であったりします。なのでいわゆるそう言った大病となる前に、まずは「脳疲労」という概念を知っていただいて、まずはスタート地点に立つ、つまりはご自身の状態を認識することから始めてもらって生活におけるアクセルとブレーキを上手く使い分けて欲しいなと思っています。
◆症状の改善方法:プラズマローゲン
不眠症やうつ状態の方で、睡眠導入剤などを使用されている方も多くいらっしゃるかと思いますが睡眠導入剤については様々な研究がなされていて一定の見解に落ち着いてはいないというのが現状であろうと思います。睡眠導入剤長期内服による認知機能低下のリスクが報告されていたりもしますがエビデンスははっきりしていないためその真偽を正確に言い当てることはできません。ただ、いずれにしても不要なものは摂取しない方がもちろん良いというのが個人的な考え方ではあります。不眠症の背景にこの脳疲労があるようなら違ったアプローチも可能なのかなと考えており、先ほどいった生活スタイルの変更が最もすぐにできること、かつ、一番にすべきことだと思いますがそれ以外の選択肢として挙げるとすれば天然成分のプラズマローゲンと言われる成分のサプリメントをお勧めします。これについては九州大学の脳神経内科の先生が中心になって進めておられるサプリメントですが学術的にも臨床試験を組み認知機能の改善や睡眠障害の改善などをデータとして積極的に出しておられますし、2021年にも論文がすでに出されていて、プラズマローゲンを使った今までの臨床試験の知見などをまとめアルツハイマー病の新たな発症仮説を提唱されていたりします。そういった背景から当院でもこのサプリメントは取り扱っており適応となりそうな患者様にはお勧めをしています。以前、ラジオをお話させてもらったMCI(軽度認知障害)の患者様にも良い効果を発揮してくれるかなと過去のデータから考えておりますし、実際すでに複数の患者様にも使って頂いていますが確かに良い感触だというのが正直なところです。インターネット、スマートフォンというのはとてつもなく便利なものではありますが、いずれにしても自分の人生は自分の周りの人々や自然に囲まれる形で存在していて、決してスマートフォンやPCのなかにはないんだということは改めて思ってもらい、日々蓄積している脳疲労を少しでも軽減するため明日朝は起きたらまずスマートフォンを見るのではなくて外に出て空を見て天気と温度を体感してもらうことをお勧めしたいと思います。
◆脳疲労の改善効果を期待できる食材『ほたて』
ホタテの旬は2-3月と7月の2回あるようで今は旬とは少し外れているのですが、先ほど脳疲労を改善する可能性の高い天然成分のプラズマローゲンが含まれているのがこのホタテです。実はプラズマローゲンのサプリメントというのは実はこのホタテから抽出して作られています。ホタテを調理するのはバリエーションも多くなくてって難しいとは思いますが、うちではサラダにそのまま乗って出て来ることが多いです。油と調理すると吸収率が上がるとされていますのでホタテとアスパラガスでバターソテーとか手軽で良いかもしれません。脳疲労改善のため、今日夜はホタテを食べてもらい、明日朝は外に出て天気や気温を感じて欲しいなと思っています。